◎北京冬季五輪フィギュア団体のメダル授与式はこの問題が解決する前で先送りとなった。
世界反ドーピング機関(WADA)は13日、ロシア地裁が昨年の北京冬季五輪フィギュア団体で金メダルを獲得したワリエワ(Kamila Valieva)選手のドーピング事件について、「ワリエワ選手本人の過失は認められない」と判断したと発表した。
ワリエワ選手は団体戦で金メダルを獲得したものの、その2カ月前に開催されたロシア選手権で狭心症の治療に使われるトリメタジンを使用していたことが明らかとなり、団体戦のメダル授与式はこの問題が解決する前で先送りとなった。
WADAは13日付けの声明で、「ワリエワ選手の処分対象がロシア選手権のみになったことを懸念している」と述べている。
ロシア地裁はワリエワ選手がロシア反ドーピング機関(RUSADA)の規則に違反したと認める一方、「本人の過失は認められない」とし、サンプルを採取した大会以外の失格も認められず、制裁も課さないとしている。
しかし、WADAはこの判決に異議を唱えた。
WADAは以前、RUSADAの判断が遅れていることに懸念を示し、スイスのスポーツ仲裁裁判所に調査を移管するよう求めていた。
WADAは声明の中で、「過失を認めるか否かにかかわらず、ロシア地裁の判決に懸念を抱いている。WADAはスポーツ仲裁裁判所にこの問題を提起することをいとわない」と述べている。
またWADAは「ワリエワ選手に少なくとも4年間の出場禁止処分を課すべき」と指摘した。
RUSADAはワリエワ選手がドーピング使用時、まだ15歳だったことを考慮し、調査結果は公表しないと明言している。
国営タス通信はRUSADA責任者の話を引用し、「RUSADAは控訴も検討している」と報じている。またRUSADAは略式判決(正規の事実審理を省略して至る判決)を受け取っただけと説明した。
RUSADAが控訴するかどうかは不明だ。判決次第では団体戦の順位が変わり、米国が金、日本が銀になる可能性がある。この事件の影響で授与式は行われていない。
スポーツ仲裁裁判所(CAS)の審理には通常数カ月を要する。CASは昨年、ワリエワ選手の年齢を考慮し、北京五輪への出場を認めた。
アナリストはロシア地裁の判決が2022-23フィギュアシーズンに影響を与えることはないと指摘している。
ロシアの同盟国であるベラルーシのスケーターもウクライナ侵攻を受け、国際大会への出場停止を禁じられた。
ワリエワ選手は今シーズン、ロシアの国内大会に出場している。