◎コソボは2008年にセルビアからの独立を一方的に宣言した。
コソボのセルビア人は29日、国境道路に設置したバリケードの撤去に応じたようだ。
セルビア人たちは今月10日、セルビア系住民の元警察官が逮捕されたことに抗議し、バリケードの設置を開始した。
地元メディアによると、抗議者たちは28日遅くにセルビアのブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領と面会し、バリケードを撤去すると約束したという。
ブチッチ氏はコソボ北部のセルビア系住民の怒りを理解し、コソボ当局を厳しく非難している。
報道によると、撤去には数日かかる可能性があるという。
コソボ警察は29日、両国の主要な国境道路の封鎖を解除できたと発表した。
コソボは2008年にセルビアからの独立を一方的に宣言した。西側諸国の大半は独立を承認したが、セルビアやその同盟国であるロシアと中国は認めていない。
コソボ紛争(1998~99年)の死者は1万3千人と推定されている。セルビア軍によるアルバニア系住民の弾圧は国際的な批判を引き起こし、NATOが紛争を終わらせるためにセルビアを空爆した。
セルビア軍はコソボ北部のセルビア系住民が困難に直面しているとして、警戒態勢を最高レベルに引き上げている。
両国の緊張はナンバープレートをめぐる問題で急速に高まった。
コソボ政府は先月、セルビアで発行された自動車のナンバープレートを段階的に禁じると発表。これに北部のセルビア系住民が猛反発し、セルビア人議員、検察官、警察官などが職を辞し、抗議デモに発展した。
コソボ政府は期限までにセルビア発行のプレートをコソボ発行のものに変更するよう命じたが、応じた者はごくわずかで、政府は応じなかった者に罰金を科すと警告し、これにセルビア人が猛反発。大量辞職に発展した。
コソボに平和維持軍を派遣しているNATO、EU、米国は仲介を試みていたが、妥協点を見いだすことはできなかった。
そして今月初め、セルビア系住民の元警察官がコソボ軍を攻撃した容疑で逮捕され、緊張が高まった。
コソボの裁判所は28日、容疑者を釈放するよう命じた。
セルビア首相府は29日、バリケード撤去を歓迎する一方、コソボ北部のセルビア系住民に謝意を示した。「あなたたちは残忍なテロと侵略に対抗したのです...」
また同首相府はナンバープレート問題を念頭に置き、「バリケードの撤去がコソボの挑発行為の終結を意味するとは思わない」と警告した。
報道によると、コソボ政府はバリケード撤去に関する声明を出していないという。
EUと米国は「コソボ当局から平和的な抗議の権利を保障するという確約を得た」と述べている。