◎ボルアルテ氏は激動の1日を乗り越え、同国初の女性大統領となった。
ペルーのボルアルテ(Dina Boluarte)新大統領が9日、首都リマで行われた陸軍の式典に出席した。
ボルアルテ氏は演説で、国民と議会に団結を求め、協力して政治・経済危機を乗り切るよう求めた。
しかし、議会の主要政党はカスティジョ(Pedro Castillo)前大統領が引き起こした騒乱を糾弾し、早期大統領選を求めている。
報道によると、カスティジョ氏の解放と議会閉鎖を求める市民数百人がリマの検察庁前に集まり、警察と小競り合いを起こしたという。
ボルアルテ氏は激動の1日を乗り越え、同国初の女性大統領となった。
カスティジョ氏は7日、議会を一時的に解散し、「特別緊急政府」を設置するとテレビ演説で発表したものの、議会の弾劾投票で罷免され、同日遅くに反逆罪で逮捕された。
弾劾投票から数時間後、ボルアルテ氏は議会で宣誓した。
ボルアルテ氏は陸軍の兵士数千人を前に演説し、「海軍、空軍、そして陸軍は我が国の安全保障を確立する要石だ」と語った。「あなたたちのおかげでペルーの民主主義、憲法、法の支配、権力の均衡は尊重され、秩序が守られているのです...」
式典にはカスティジョ氏にクビにされかけた議員らも出席した。
ボルアルテは7日の就任演説で議会に停戦を呼びかけた。
専門家によると、憲法の大統領弾劾条項は非常に曖昧で、議会は理由に関係なく弾劾投票を招集できるという。
2018年から2020年まで大統領を務めたビスカラ(Martin Vizcarra)氏も汚職疑惑で罷免された。
ペルーではこの6年間で6人大統領が誕生している。ボルアルテは60歳の弁護士で、政治経験はゼロに等しい。
しかし、ボルアルテ氏は女性大統領の誕生を歓迎する声が高まったことを受け、保守・中道議員との会談を主催。左派議員の支持だけで政権を運営することは難しいと認め、より柔軟な対応を取ると示唆した。
またボルアルテ氏はこの会談に先立ち、ローマカトリックの式に参列し、ダンスを披露した。
アナリストは「ボルアルテ政権はすぐに行き詰まる」と予想している。
ペルー大学の政治学教授はSNSに「ボルアルテ政権は難しいかじ取りを迫られる」と投稿している。「左派の支持を得て勝利したカスティジョ氏のランニングメイトは右派および中道になびく可能性が高いと思います...」
2011年から2016年まで大統領を務めたウマラ(Ollanta Humala)氏は地元メディアのインタビューで、「ボルアルテ氏は来年度予算案を含む複数の重要な問題に対処しなければならない」と語った。
議会の多数派を占める右派・中道勢力は早期大統領選を求めている。
クスコ州知事はツイッターに、「取り返しのつかない事態になる前に解散宣言すべきだ」と投稿している。「ボルアルテさん、あなたはクーデター指導者の副官です」
リマやその他の都市ではカスティジョ氏を応援する市民が小規模なデモを続けている。デモ隊はボルアルテ氏を「裏切り者」と呼び、議会の閉鎖を要求した。
地元メディアによると、リマのデモ隊は機動隊に立ち向かったが、警棒攻撃と催涙ガスで押し戻され、撤退を余儀なくされたという。
デモに参加した男性はAP通信の取材に対し、「この国を統治できるのは国民だけだ」と語った。「議会を閉鎖し、恥知らずの裏切り者を追放し、議員を丸裸にし、私たちのカスティジョ大統領を取り戻します。裏切り者を許すな!」