◎同国で活動するセックスワーカーは15万人と推定されている。
2022年10月18日/南アフリカ、ヨハネスブルグの裁判所前、女性への暴力に抗議するデモ(Themba Hadebe/AP通信)

南アフリカ政府は9日、性暴力やヘイトスピーチに対処する取り組みの一環として、売春を非犯罪化する計画を発表した。

地元メディアによると、政府は「セックスワーカー」の活動を合法とする法案を連邦議会に提出したという。

同国で活動するセックスワーカーは15万人と推定されている。

ラモラ(Ronald Lamola )法相は9日の記者会見で、「それを非犯罪化することでセックスワーカーに対する人権侵害を減らし、ヘイトを打ち負かし、女性に対する暴力を根絶する」と語った。

またラモラ氏はセックスワーカーのケア、保護、労働条件の改善にもつながると述べた。

南アフリカでは性犯罪が激増している。被害者の大半は女性だ。

警察が先月発表した統計によると、2021ー22年のレイプと性的暴行件数は4年前に比べると13%増加したという。

警察は1時間に5件強姦事件を受理しているが、女性が被害を報告しないケースを含めると、その数は2~3倍になると推定されている。

さらに、今年1~3月の間に殺害された女性の数は前年同月比で52%増となった。

セックスワーカーの権利団体SWEATは9日、フェイスブックに声明を投稿。「セックスワークが犯罪でなくなれば、警察と協力して暴力に立ち向かうことができる」と指摘し、法案を称賛した。

今年7月にヨハネスブルグ近郊で発生した集団レイプ事件は国民に衝撃を与えた。この事件に関与したとされる14人は全員不起訴処分になっている。

10月にはヨハネスブルグのビルでセックスワーカーとみられる女性6人の遺体が発見された。

南アフリカの憲法は世界で最も人権を擁護する憲法のひとつであり、中絶や同性婚などを認めているが、セックスワーカーは長い間、世間の目にさらされてきた。

ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領は最近、ジェンダーに起因する暴力を「パンデミックとみなすべき」と述べ、おぞましい犯罪が蔓延していると懸念を示していた。

この法案は売春を非犯罪化するが、性産業は規制しない。

南アフリカのセックスワーカー(Getty Images)
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