◎ロシアとトルコが仲介した休戦協定は何度も破られており、この2年で数千人が死亡したと推定されている。
シリアの難民キャンプ(Getty Images/PAメディア)

シリア当局は6日、アサド政権が北西部イドリブ県のテント集落を空爆し、少なくとも10人が死亡、数十人が負傷したと報告した。

イドリブ県は反政府勢力が保持する最後の主要拠点である。

ロシアとトルコが仲介した休戦協定は何度も破られており、この2年で数千人が死亡したと推定されている。

シリア危機を担当する国連高官3人は共同声明を発表し、イドリブ県に対する敵対行為に深刻な懸念を表明した。

高官はこの攻撃で生後4カ月の乳児が死亡したことに言及した。また、約400人が避難を余儀なくされたという。

イギリスに本拠を置くNGO「シリア人権監視団」によると、アサド政権は6日早朝、イドリブ県に向けてロケット弾を少なくとも30発発射したという。

同監視団はイドリブ県のテント集落などにミサイルが着弾し、少なくとも9人が死亡、77人が負傷したと報告している。また、同県南部でオリーブを摘んでいた男性が死亡し、数人が負傷したとのこと。

シリア人権監視団はこの攻撃で死亡した1人について、2カ月前にトルコから強制送還された難民と報告している。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)が先月公表したレポートによると、トルコ政府は過去6カ月でシリア難民数百人を強制送還したという。

シリア人権監視団はイドリブ県の反政府勢力がアサド政権の部隊に反撃したと報告している。

一方、救助ボランティア団体「ホワイト・ヘルメット(シリア民間防衛隊)」は6日、首都ダマスカスの西にある6つの難民キャンプが攻撃を受け、子供2人を含む9人が死亡し、約70人が負傷したと報告した。

国営シリア・アラブ通信(SANA)は当局者の話を引用し、「政府軍はイドリブ県で最も強力なテロ組織ハヤト・タハリール・アルシャム(HTS)の陣地を攻撃した」と報じている。

HTSはアルカイダ系の過激派組織である。

SANAはロシア空軍の戦闘機も攻撃に参加したと報じた。

シリア内戦の犠牲者は40万人近くに達し、国土の大部分は廃墟と化し、人口2300万人の半数以上が避難民になった。

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