◎先住民族たちはアマゾン地域が石油で汚染されていることに抗議するため、観光客を一時的に拘束し、政府の注意を引こうとした。
2022年11月4日/ペルー、北部ロレト、先住民族に拘束された観光客(Angela Ramirez/AFP通信/Getty Images)

ペルー当局は4日、アマゾン地域を観光していた船が先住民族に乗っ取られた事件について、外国人観光客23人を含む乗客98人が解放されたと明らかにした。

AP通信によると、先住民族たちはアマゾン地域が石油で汚染されていることに抗議するため、観光客を一時的に拘束し、政府の注意を引こうとしたという。

APは観光船の占領を主導した酋長の話を引用し、「外国人観光客とペルーの市民は4日の現地時間1時45分に目的地に向け出発した」と報じている。

この船はアマゾン地域のユリマグアスからイキトスに向かっていた。地元メディアは関係者の話を引用し、「ケガ人はいない」と報じている。

酋長はAP通信の取材に対し、「政府が具体的な対策と援助を提供するまで抗議デモを続け、船の運航を妨害する」と述べた。

また酋長は環境汚染が長年放置されてきたことに怒りを表明し、さらに厳しい行動を取る可能性もあると警告した。

酋長はカスティジョ(Pedro Castillo)大統領に行動を促し、この地域で環境汚染が進んでいることを認め、緊急事態を宣言するよう求めた。

ペルーで活動する人権団体や活動家も、2014年と今年9月の石油流出事故でアマゾンの一部地域が汚染されたと懸念を表明している。

酋長は「カスティジョは就任時にこの問題に対処すると約束したが、この1年半、何もしていない」と不満をあらわにした。「私たちは汚染された水を飲み、石油で黒くなった魚を食べなければなりませんでした...」

酋長によると、石油はこの地域の住民約1000人だけでなく、水道、電気、電話サービスがない80近い他の地域にも影響を及ぼしているという。

ペルーの保健省は2016年にこの地域で血液サンプルを採取し、その半分から世界保健機関(WHO)が推奨するレベルを超える水銀とカドミウムが検出されたと報告した。

酋長は「児童も汚染された水と魚を摂取し、苦しんでいる」と語った。「児童を含む多くの人が病気を発症しています...」

トレス(Aníbal Torres)首相は4日、観光船の解放を歓迎したうえで、先住民族の要求について、「過去200年の悪癖がもたらした公害を数カ月で解消することはできない」と主張した。

左派のカスティジョ氏は国民の生活を第一に考える大統領として左派有権者の支持を集め、昨年7月に就任したものの、修士論文の盗用疑惑や汚職など、少なくとも5つの疑惑で批判にさらされ、厳しい政権運営を余儀なくされている。

トレス氏はカスティジョ政権4人目の首相である。前任者は就任からわずか3日で辞任した。

2021年7月28日/ペルー、首都リマの就任式会場近く、カスティジョ大統領(Guadalupe Pardo/AP通信)
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