◎最新の世論調査によると、多くの人権団体から批判が集まっているにもかかわらず、国民の大多数がギャング掃討作戦を支持しているという。
エルサルバドル当局は1日、中部ラリベルタ県の町に兵士と警察を2000人以上派遣し、殺人の罪に問われているギャングの構成員の捜索を開始した。
AP通信によると、ラリベルタ県コマサグア(Comasagua)は完全に包囲され、市内に出入りする者は身体検査を求められるという。
ブケレ(Nayib Bukele)大統領は自身のツイッターアカウントに声明を投稿。「コマサグアにはマラ・サルバトルチャ(通称MS-13)の構成員が残っているとみられる」と説明した。
ブケレ氏は今年3月、ギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。軍と警察の権限を強化し、刑法を改正した。
3月末以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は5万3000人を超え、そのうち約4万8000人が起訴されている。
軍と警察は非常事態令の下、結社の自由や弁護人を選任する権利などを制限し、裁判所の許可を得ずに被疑者を拘束している。また政府は容疑者と見なされた個人の電話やメールを自由にチェックできるようになった。
この法令は8月20日に切れる予定だったが、9月末まで延長されている。
地元の人権団体や活動家によると、ギャングの支配下に置かれていた地域の若い男性は特に厳しい検査を受けているという。
エルサルバドルのギャングは7万人以上と推定されている。中米最大のギャングMS-13やバリオ18などは長い間、郊外の町や集落を支配し、殺しやゆすりを平然と行ってきた。
ギャングの暴力に巻き込まれた市民は数知れず、危険な地域で生活していた数千人が亡命や逃亡を余儀なくされたと報告されている。
最新の世論調査によると、多くの人権団体から批判が集まっているにもかかわらず、国民の大多数がギャング掃討作戦を支持しているという。