◎このプロジェクトはアフリカ大陸最大の天然ガス輸出国であるモロッコとアルジェリアの対立を背景としている。
モロッコの天然ガスパイプライン(Getty Images)

ナイジェリアとモロッコ当局は15日、西アフリカと欧州に天然ガスを供給する新たなガスパイプライン建設計画に関する覚書に署名した。

ナイジェリア・モロッコ・ガスパイプラインプロジェクト(NMGP)は声明で、「ナイジェリア国営石油会社(NNPC)、モロッコ鉱山局(ONHYM)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が覚書に署名した」と報告している。

またNMGPはこのプロジェクトについて、「アフリカ大陸のエネルギー分野を開発・促進するというECOWASとすべての関係国のコミットメントに基づいている」とした。

ロシアのウクライナ侵攻がもたらした天然ガスと原油の価格高騰はアフリカ経済に深刻な影響を与えている。NMGPの工事着工日は未定。

ナイジェリアとモロッコを結ぶ約6000kmのパイプラインは、大西洋沿岸の13カ国を横断し、内陸のニジェール、ブルキナファソ、マリに天然ガスを供給する予定だ。

モロッコには5兆立方メートル以上の天然ガスが供給され、モロッコは欧州向けガスパイプラインで欧州大陸にガスを送る。

このプロジェクトはアフリカ大陸最大の天然ガス輸出国であるモロッコとアルジェリアの対立を背景としている。

アルジェは昨年8月、モロッコと断交した。

アルジェは断交から2か月後、モロッコ向けガスパイプラインの弁を閉め、モロッコに圧力をかけた。

それ以来、モロッコ政府はガス取引先の多様化を目指している。

アルジェリア、ナイジェリア、ニジェール政府は今年7月、アルジェリアを経由してナイジェリアのガスを欧州に輸送する全長約4000kmのサハラ砂漠ガスパイプラインプロジェクト(TSGP)の覚書に署名した。

この計画の着手日も未定である。

モロッコは「西サハラ(サハラ・アラブ民主共和国)」の領土のおよそ8割を支配している。残りはアルジェリアの支援を受ける武装組織「ポリサリオ戦線」が統治している。

1975年にスペイン軍がこの地域から撤退した後、15年に及ぶ西サハラ戦争が勃発した。西サハラは1976年に独立を宣言したが、モロッコはこれを認めていない。

国連が主導した西サハラ戦争の停戦協定は1991年に発効し、それ以来、国連平和維持ミッション「西サハラ住民投票監視団(MINURSO)」が緩衝地帯を監視している。

モロッコはポリサリオ戦線に「限定的な自治」を提案しているが、同戦線はリン鉱石と漁業が豊富なエリアを主権下に置く必要があると主張している。

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