◎スリランカの市民はラジャパクサ一族が国を破滅に追いやったと非難し、数カ月に及ぶ大規模な街頭抗議デモを行ってきた。
スリランカの地元メディアは2日、歴史的な抗議デモに屈し国外に逃亡したラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)前大統領が帰国したと報じた。
報道によると、ラジャパクサ氏は滞在先のタイからシンガポールを経由して帰国したという。政府閣僚が空港で同氏を出迎えたと伝えられている。
スリランカの市民はラジャパクサ一族が国を破滅に追いやったと非難し、数カ月に及ぶ大規模な街頭抗議デモを行ってきた。食料と燃料不足は今も続いている。
後任のウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領と国際通貨基金(IMF)の交渉はほぼ完了したと報じられている。
ラジャパクサ氏と兄のマヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)前首相(5月辞任)の責任を追及するデモは4月に本格化し、数十万人が参加した。
デモ隊は7月に首相公邸やその他の政府関係者宅に火を放ち、大統領公邸を占領。ラジャパクサ氏は軍用機でモルディブに逃亡し、シンガポールに入国。メールで辞表を提出した。
ラジャパクサ氏の帰国は新たな抗議デモを引き起こす可能性がある。政府は前大統領とその家族の安全を確保しなければならないだろう。
あるツイッターユーザーは、「裁判でラジャパクサの責任を追及すべき」と投稿している。
一部のデモ参加者はラジャパクサ一族が不正で財を成したと主張しているが、証拠があるかどうかは不明である。
ある活動家はAP通信の取材に対し、「スリランカを破滅させたのはラジャパクサ兄弟であり、必ず裁判にかけなければならない」と語った。
地元メディアによると、政府は首都コロンボにラジャパクサ氏を保護する施設を用意したという。現在地は不明だが、一部メディアはまず軍事基地に移動し、そこから保護施設に入る予定と報じている。
一部の権利団体はウィクラマシンハ氏がデモ隊を弾圧したと非難している。報道によると、警察はこの数週間、コロンボで行われたデモを一部取り締まり、数十人を拘束したものの、そのほとんどを釈放した。
デモを主導したとされる学生組合のリーダー3人は、非常事態宣言とテロ防止法に基づき拘束されている。
治安部隊は大統領府前に設置されたデモ隊キャンプを7月に撤去した。デモ隊は先月、コロンボの湾沿いに設置したキャンプも片付けている。
政府は現在、特定の条件をクリアしたQRコードを持つ車にのみガソリンを販売している。報道によると、市内のガソスタの渋滞はピーク時に比べると減少したが、それでも1、2時間待ちは当たり前だという。
食料品はおおむね出回っているが、価格はこの数カ月で倍以上に跳ね上がった。インフレ率は65%前後で推移している。
一方、政府は今週初め、IMFと29億ドルの融資について仮合意に達したと発表した。
政府は歳入を増やす努力の一環として、主要公共部門を民営化すると提案しているが、労組はこれに強く反発しているようだ。しかし、公務員の削減は避けられないだろう。