◎コロンビア政府はこれまで、コカ畑撲滅の年間目標を設定し、数千人規模の警察官と兵士を動員してコカの木を手作業で引き抜いてきた。
コロンビアのコカ畑(Getty Images)

コロンビア政府は23日、コカ畑を根絶やしにする政策を見直し、合法的な理由でコカを栽培する農家を支援すると発表した。

先週警察長官に就任したサナブリア(Henry Sanabria)氏は地元紙のインタビューで、「コカ畑の撲滅作戦を中止した」と明らかにした。

またサナブリア氏は「麻薬密売に関与していない農家を保護し、政府の麻薬撲滅政策に反対する農家の負担を軽減することが重要だ」と語った。

この決定は米国へのコカイン密輸を減らそうと長年試みてきたこれまでの政策に大きな変化をもたらす可能性がある。

今月就任した元左翼ゲリラのペトロ(Gustavo Petro)大統領は麻薬密売と戦う方法を変えたいと公言している。

コロンビア政府はこれまで、コカ畑撲滅の年間目標を設定し、数千人規模の警察官と兵士を動員してコカの木を手作業で引き抜いてきた。最近ではドローンを使って薬を散布し、木を枯らす取り組みも開始した。

コロンビアの遠隔地で生活する人々は貧しく、他の作物を栽培しても生活が成り立たないと主張する農民と警察官が衝突することも珍しくなかった。根絶作戦に参加した警察官が狙撃されたり、地雷で負傷したこともある。

この撲滅計画は米国の資金・技術支援を受けてきたが、コカイン取引は増加の一途をたどっている。

米麻薬取締局(DEA)によると、コロンビアのコカイン年間生産可能量は2011年の273トンから昨年は972トンに増加したという。DEAはコカ栽培に使われる土地の面積が同期間で3倍に増加したと推定している。

ペトロ氏は今月7日の就任演説で、「世界の麻薬戦争を阻止する取り組みは失敗した」と指摘し、コカインなどの違法薬物に対処する新たな方法を模索する時期が来ていると国内外に呼びかけた。

法務省の報道官は23日の記者会見で、「コカインが違法薬物であることに変わりはないが、薬用としてコカの葉を栽培する農家にはいくつかの許可が与えられる可能性がある」と述べた。

また報道官は、「軍と警察は麻薬カルテル、密売人、それらの資金洗浄を行う企業の解体に注力する」と強調した。

2022年6月23日/コロンビア、首都ボゴタ、次期大統領のペトロ氏(右)次期副大統領のマルケス氏(Fernando Vergara/AP通信)
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