◎メキシコの麻薬カルテルはライバル組織の情報を警察や軍に流すことがよくある。
メキシコ軍は11日、北部ソノラ州の国境検問所でメタンフェタミン約1.5トンとオピオイド系の合成鎮痛剤フェンタニル約150kgを押収したと発表した。
軍報道官によると、部隊は10日にもドラム缶46個に詰め込まれたフェンタニルを含む錠剤約81万6000錠を押収したという。
国防省は声明で、「国境の町に濃縮果汁の粉末を運ぶトラックが麻薬を積んでいるという情報を得た」と述べている。
メキシコの麻薬カルテルはライバル組織の情報を警察や軍に流すことがよくある。
軍報道官はトラック運転手の認否を明らかにしていない。また末端価格も明らかにされていないが、フェンタニル錠剤50万錠の末端価格は300億円ほどである。
メキシコ最大の麻薬カルテル「シナロアカルテル(Sinaloa Cartel)」や№2の「ハリスコ新世代(Jalisco New Generation)」は中国から輸入した前駆体から合成オピオイドのフェンタニルを製造し、パニック障害治療薬ザナックス(Xanax)、アデラル(Adderall)、オキシコンチン(OxyContin)などの処方薬に見せかけ密売する。
フェンタニルは2ミリグラム服用しただけで死に至る可能性がある。その効果はモルヒネの100倍といわれている。
偽造薬を服用する人は、自分がフェンタニルを摂取していることに気づかないことが多い。その結果、合成オピオイドの過剰摂取による死亡事故が相次ぐのである。
2020年4月~2021年4月の間に米国で合成オピオイドを摂取し死亡した人の数は初めて10万人を超えた。