◎ジョンソン氏は就任以来最大の危機に直面しており、6日には首相官邸と庶民院で質問攻めに遭う予定である。
イギリスのジョンソン(Boris Johnson)首相は5日、閣僚2人の電撃辞任で三度窮地に追い込まれ、野党に解散総選挙を求められた。
BBCニュースによると、スナク(Rishi Sunak)財務相とジャビド(Sajid Javid)保健・社会福祉相はほぼ同時に辞表を提出し、両者の側近もそれに続いたという。
ある批評家はジョンソン政権を「スキャンダル政権」と呼び、野党労働党の支持者はジョンソン氏に0.1秒以内に議会を解散するよう命じた。
しかし、院内副幹事長の「手探り事件」で窮地に追い込まれたジョンソン氏は内閣改造を約束し、解散を否定したように見える。
庶民院(下院)の規律を維持する役目を担っていたピンチャー(Chris Pincher)院内副幹事長は先週、ジョンソン氏に辞表を提出し、「飲み過ぎました」と謝罪した。
ジョンソン氏は新財務相・保健相を速やかに指名し、ロシアによるウクライナ侵攻、食料・燃料価格の高騰、気候変動、コロナウイルス関連の問題に対処すると誓ったように見える。
ジョンソン氏は就任以来最大の危機に直面しており、6日には首相官邸と庶民院で質問攻めに遭う予定である。
スナク氏とジャビド氏はまだ公の場で発言していないが、辞表でジョンソン氏のリーダーシップを厳しく批判した。
スナク氏は「国民は適切、有能、真剣な政府を求めている」とし、ジャビド氏は「指導部は国益のために行動していない」と一蹴した。
野党労働党のスターマー(Keir Starmer)党首は「解散総選挙の準備はできている」と述べ、元保守党議員は「ジョンソンは終わった」と指摘した。
元首席補佐官のミッチェル(Andrew Mitchell)氏は5日に放送されたBBCのインタビューの中で、「彼は首相の器ではない」と一蹴した。「唯一の問題は、この問題はいつまで続くのか、ということです」
しかし、ジョンソン氏に挑戦を表明する保守党員は今のところいない。何人かの閣僚はジョンソン氏の背後に回った。次期首相候補と目されているトラス(Liz Truss)外相もそのひとりである。
トラス氏は「首相を100%支持する」と述べ、その他の閣僚も政権に留まる意向を示した。
保守党のブリッジェン(Andrew Bridgen)議員はBBCのインタビューの中で、「首相は辞任すべきであり、そうしなければ党は首相を追い出さなければならないだろう」と述べた。
一方、労働党のスターマー氏は解散総選挙を歓迎し、有権者は政権交代を望んでいるとした。「すべての不正。すべての失敗。保守党政権が崩壊しているのは明らかである!」
次の総選挙は2024年までに行われる予定。地元メディアは、ジョンソン氏が解散に踏み切る可能性は低いと予想している。
自由民主党のデービー(Edward Davey)党首はSNSに、「ジョンソンの混迷政府はわが国を破綻させた」と述べ、ジョンソン氏に引退を勧告した。「解散しなさい!」
スコットランド独立を目指しているスタージョン(Nicola Sturgeon)首相は5日、「ジョンソン政権の腐った連中は全員去るべきだ」と怒りを爆発させた。「閣僚は国民に嘘をついています!」
ジョンソン氏は「手探り事件」で告発されたピンチャー氏の党員資格停止を求める声に抵抗していたが、調査機関に正式な苦情が提出されたことを受け、停職処分とすることに同意した。
英タブロイド紙サン(The Sun)によると、ピンチャー氏は6月29日の夜、民間の会員制クラブで男性2人の体をいやらしい手つきで触ったという。
ピンチャー氏が自身の問題で役職を辞職するのは2度目である。メイ(Theresa May)前首相は2018年、ピンチャー氏を副幹事長に任命した。