◎マクロン大統領は何とか対話で停戦を実現したいと考えている。
ウクライナ政府は4日、フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領が「ロシアに屈辱を与えないことが重要だ」と発言したことに強く反発した。
マクロン氏は地元メディアのインタビューの中で、ロシアのウクライナ侵攻を「プーチン(Vladimir Putin)大統領の怒り」と表現し、「そこから抜け出す方法を模索することが重要である」と語った。
ウクライナのクレバ(Dmytro Kuleba)外相はこの発言を非難し、「マクロン氏は自らに恥をかかせている」と一蹴した。「我々の同盟国はロシアを追い込むことに集中すべきです...」
一部の専門家は、ウクライナが西側諸国の支援を受けてロシア軍に圧勝すれば、プライドを傷つけられたプーチン氏が生物化学兵器や核兵器の使用に踏み切る可能性があると指摘している。
マクロン氏は何とか対話で停戦を実現したいと考えている。
クレバ外相は、「ロシアに屈辱を与えてはならないという呼びかけは、フランスと同様の呼びかけを行う他の国に恥をかかせるだけだ」とツイートした。
ウクライナはいかなる理由があろうと侵略者に領土を割譲したり譲歩することはないとしている。米国を含む主要国も力による現状変更を認めず、ウクライナに兵器や人道支援を提供している。
マクロン氏はインタビューの中で、「プーチン氏は自分自身を孤立させた」と述べている。「私は彼が歴史的な誤りを犯したと思うし、彼にもそう伝えました」
マクロン氏は「孤立することは簡単だが、そこから抜け出すことはとても難しい」と述べ、対話を継続することが重要という見解を示した。
イタリアのドラギ(Mario Draghi)首相も同様の見解を示している。
米国もプーチン氏が停戦を望むのであれば対話に応じると示唆しているが、プーチン氏はウクライナ東部の完全制圧に固執しているように見える。
東部ルハンシク州セベロドネツク周辺では一進一退の攻防が続いているとみられる。
セベロドネツクとリシチャンスクが制圧されれば、ロシア軍の支援を受けるルガンスク人民共和国はルハンシク州全土を支配下に置くことができる。
ルハンシク州のガイダイ(Serhiy Haidai)知事は3日、ウクライナ軍はセベロドネツクの2割をロシアから奪取し、西側の支援が到着するまで持ちこたえることができるという見方を示した。
ガイダイ氏はSNSに、「西側の長距離兵器が揃えば、敵の大砲を我々の陣地から遠ざけることができる」と投稿している。
米国はウクライナに長距離精密兵器である高機動ロケット砲システム「ハイマース」の供与を決めている。イギリスは大型の多連装ロケット、ドイツも最新の防空兵器を供与する予定。
ロシア軍はセベロドネツクと川の向こう側に位置するリシチャンスクを完全に包囲したいと考えている。この両都市は経済的にも重要で、セベロドネツクには窒素肥料を生産する巨大な化学工場、リシチャンスクにはウクライナで2番目に大きな製油所がある。
ガイダイ氏によると、セベロドネツクの大部分は破壊され、1万人以上が化学工場の地下などに身を寄せているという。
ガイダイ氏は、「ロシア軍は軍事支援や民間人の救援物資の配送を阻止するために、輸送ルートの橋を爆破した」と報告している。
Calls to avoid humiliation of Russia can only humiliate France and every other country that would call for it. Because it is Russia that humiliates itself. We all better focus on how to put Russia in its place. This will bring peace and save lives.
— Dmytro Kuleba (@DmytroKuleba) June 4, 2022