◎ロシアとウクライナの小麦輸出量は世界の3分の1近くを占める。
国連のドゥジャリク(Stephane Dujarric)報道官は31日、ロシアと穀物輸出を促進する建設的な協議を行ったと明らかにした。
ドゥジャリク氏によると、国連高官はモスクワでベロウソフ(Andrei Belousov)第1副首相と会談し、ロシアの穀物・肥料の世界市場への輸出を促進する取り組みについて協議したという。
AP通信などによると、ペロウソフ氏と会談したグリンスパン(Rebecca Grynspan)氏は現在ワシントンD.C.に滞在中で、同じ問題について協議中だという。
米国のトーマスグリーンフィールド(Linda Thomas-Greenfield)国連大使は31日、「米国はロシアの穀物と肥料の輸出を促進するために、船会社や保険会社に書簡を提出する用意がある」とSNSに投稿した。
米国はロシアの穀物と肥料に制裁を科していない。
ウクライナ侵攻の影響で世界の穀物、食用油、燃料、肥料の価格は軒並み高騰し、世界規模の食料危機に発展した。
ロシアとウクライナの小麦輸出量は世界の3分の1近くを占める。またロシアは肥料、ウクライナはトウモロコシとひまわり油の主要輸出国である。
ウクライナ南部の港湾都市には2000万トン以上の穀物が滞留している。ロシアは西側の制裁が穀物の輸送を妨げていると主張しているが、穀物は制裁対象外である。
先月モスクワとキーウを訪問したグテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は、ウクライナの穀物輸出とロシアの穀物・肥料輸出の両方を再開したいと考えている。
ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は30日に行われたトルコ大統領との電話会談の中で、「西側諸国が制裁を解除するのであれば、ウクライナの港から穀物を輸送する用意がある」と表明した。
一方、ブリュッセルのEU首脳会議に出席しているフランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領は31日、「今後数日から数週間のうちに、ウクライナの穀物輸出についてロシアと合意に達することができると願っている」と希望を表明した。
マクロン氏はロシアとトルコの電話会談に言及し、「前向きな結論が得られた」とした。
プーチン氏は穀物輸送再開と引き換えに制裁を解除するよう西側に要求しているが、EU首脳は新たな対ロシア制裁に合意したばかりである。
マクロン氏は記者団に、「ウクライナの穀物輸送再開に先立ち、貨物船は攻撃を受けないという安全保障を確立する必要がある」と語った。「我々は現在、この問題についてロシアの返答を待っており、グテレス事務総長とも連絡を取り合っています...」