◎スリランカは対外債務の処理に苦労している。
スリランカの新首相は17日、石油備蓄基地のタンクが空になりかけていると改めて警告した。
ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)首相は16日のテレビ演説で、「原油を含む必要不可欠な輸入品を購入するためには7500万ドルの外貨が必要である」と述べていた。
またウィクラマシンハ氏は、現金不足を克服するために紙幣発行に踏み切ると明らかにした。
さらにウィクラマシンハ氏は、国営スリランカ航空を民営化するかもしれないと語った。
スリランカは絶望的な経済危機に直面しており、500億ドルにのぼる対外債務のうち70億ドル近くを今年中に返済しなければならない。しかし、外貨準備は底をつきかけている。
政府は輸入品の代金を支払うことができず、食料、燃料、医薬品、その他のありとあらゆる日用品が不足している。国民はガソリンスタンドに列を作り、調理用のガスを探し求めている。
首都コロンボの住民は英BBCニュースのインタビューの中で、「夜明け前から燃料を探している」と語った。「いくつかのガソリンスタンドを回りましたが、ほとんどが閉まっていました...」
コロンボで営業しているガソリンスタンドには、この地域の住民に愛されているオートリキシャ(三輪車)やその他の車が列をなしている。
ウィクラマシンハ氏は演説の中で、「今のところ、ガソリンの在庫は1日分しかない。これからの2、3カ月は、我々の人生の中で最も困難なものになるだろう」と語った。
しかし、ウィクラマシンハ氏は首相の責任を全うし、決してあきらめないと語った。「インドとのクレジット・ライン(信用与信枠)でガソリンとディーゼルを輸入できるため、今後数日間は燃料の供給が可能になるでしょう」
ウィクラマシンハ氏は先週、マヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)氏の後任に任命された。
ウィクラマシンハ氏は、「中央銀行は公務員への賃金やその他の責務を果たすために、紙幣を発行しなければならないだろう」と語った。「公務員の賃金、必要不可欠な商品・サービスを保証するために、紙幣発行を決断しました。しかし、それがスリランカ・ルピー安につながることを忘れてはなりません」
またウィクラマシンハ氏は財政を安定させる努力の一環として、国営スリランカ航空を売却すると提案した。同社は2021年3月までの1年間に450億スリランカ・ルピー(約160億円)の損失を計上していた。
スリランカではラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)大統領とその家族に対する大規模かつ暴力的なデモが続いている。
大統領の兄であるマヒンダ・ラジャパクサ氏は先週、デモ隊と政府支持者が衝突し死者が出たことを受け、辞任した。この暴力では少なくとも9人が死亡、300人以上が負傷したと伝えられている。
ウィクラマシンハ氏は先週、就任後初のメディアインタビューの中で「危機は良くなる前に悪化する」と語っていた。
しかし、世界に支援を求めることで食料は確保できるという見方を示し、飢餓が発生することはないと強調した。「飢餓はありません。新政府は必要な食料を確保できます...」
スリランカを20年近く率いてきたラジャパクサ兄弟は「無謀な減税」「外貨を獲得できない無駄な施設への投資」「意味不明な政策」、そして中国の「債務トラップ」に見事に引っ掛かり、主要な港湾インフラを中国に引き渡し、国を借金漬けにした。