◎ロシア軍は2カ月にわたる攻勢の末、アゾフ海に面する港湾都市マリウポリの大部分を占領した。
2022年5月6日/ウクライナ、ザポリージヤ州の避難所(Francisco Seco/AP通信)

ウクライナ当局は6日、南東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所から子供を含む数十人が避難したと発表した。

主要メディアはマリウポリ当局者のコメントを引用し、「子供11人を含む約50人が国連と赤十字のチームに引き渡された」と報じている。

ロシアのノバク(Alexander Novak)副首相は6日、製鉄所の避難活動を7日も継続すると発表した。

国連は避難活動の詳細を明らかにしていないが、マリウポリから脱出した住民はドネツク州の西に位置するザポリージャ州の避難所に避難した可能性が高いとされる。

ロシア軍は5月9日の対独戦勝記念日までにマリウポリの戦いを終え、プーチン大統領に戦果を報告したいという憶測が広がる中、戦火は東部ドンバスだけでなく、南部や西部にも広がっている。

ウクライナ政府はロシア軍がミサイル攻撃を強化する可能性があるとして、国民に警戒を呼びかけている。当局は、ロシアはマリウポリでの軍事パレードを望んでいるという見方を示している。

ロシア国営メディアによると、アゾフスタリ製鉄所には少なくとも2000人のウクライナ兵が立てこもり、降伏を拒否し続けているという。

ウクライナ当局は6日の声明で、製鉄所内の民間人数百人が避難を望んでいると述べたが、国連主導の避難と人道回廊がうまく機能するかどうかは不透明な情勢である。

一方、欧州最大の原子力発電所であるザポリージャ原発に立てこもっている兵士と民間人もロシア軍の攻撃に直面している。

原発を守るウクライナ兵は6日、テレグラムに声明を投稿し、「ロシア軍が原発敷地内の避難用車両を砲撃し、兵士1人が死亡、6人が負傷した」と明らかにした。

ロシア政府は原発の戦闘に関する声明を発表していない。

ロシア軍は2カ月にわたる攻勢の末、アゾフ海に面する港湾都市マリウポリの大部分を占領した。ここを完全掌握できれば、2014年に併合したクリミア半島とドネツクのテロ国家(ルガンスクとドネツク)を結ぶ陸上回廊がほぼ完成する。

AP通信によると、一部のロシア兵はマリウポリ市内の瓦礫の撤去、道路掃除、港に停泊した軍艦の修理などを行い、ロシア国旗を各地に掲げているという。これらの作業が5月9日の戦勝記念日パレードの準備かどうかは不明。

ロシアはマリウポリだけでなく、南部オデーサを含むその他の港湾都市への攻撃も続けているとされる。黒海とアゾフ海に面する港を奪われれば、ウクライナは穀物の主要輸出ルートを失うことになる。

ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は今週、マリウポリが近いうちに陥落するという噂を強く否定した。「マリウポルは決して陥落しません。英雄気取りとかそういう話ではない...」

ロシア軍はマリウポリでは戦果を上げているように見えるが、他の地域では明らかに苦戦している。

ウクライナ当局は対独戦勝記念日を前に、ロシア軍のミサイル攻撃が増えると警告している。

キーウのクリチコ市長は6日、市内のパトロールを強化すると発表した。オデーサ当局もミサイル攻撃が多発していることを受け、6日に夜間外出禁止令を発出した。

2022年5月5日/ウクライナ、ザポリージヤ州の支援物資配給センター(Evgeniy Maloletka/AP通信)
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