◎レバノンを支配するイスラム過激派組織ヒズボラの政治家は爆発事故の調査を妨害している。
2022年4月4日/レバノン、ベイルートの市街地、ベイルート港爆発事故の被害者遺族(Hussein Malla/AP通信)

2年前のベイルート港爆発事故で身内を失った遺族は4日、愛する人の遺影を持って市街地を行進し、政府に事件の全容解明と責任の所在を明確にするよう求めた。

2020年8月4日にベイルート港で発生した大爆発歴史上最大の非核爆発のひとつと考えられている。爆心地周辺の建物はほぼ全壊し、衝撃波は200km先のキプロスに到達した。公式記録によると、犠牲者は少なくとも216人、負傷者は数千人、少なくとも30万人がホームレスになった。

一部の遺族が掲げたプラカードには「私たちは忘れません」と書かれていた。これは愛する人と事故の調査を妨害しようとする政治家へのメッセージである。

レバノンを支配するイスラム過激派組織ヒズボラの政治家は司法当局の調査を妨害し、責任を当時の港湾当局者に押し付けたいと考えている。

政府の高官はベイルート港の倉庫に保管されていた硝酸アンモニウム約2,750トンの存在を認識していたが、放置し大惨事を引き起こした。

事故から20ヶ月経った今でも、「誰がアンモニウムの保管を許可したのか」「なぜ政府は危険物を貿易の拠点に保管すべきではないという当局の警告を再三無視したのか」など、問題の大半が不明のままである。

遺族はヒズボラが司法の調査を妨害していると非難し、責任の所在を明確にするよう求めている。

事故で3歳の娘を失ったナガー氏はAP通信の取材に対し、「政府は犯罪に加担したことを認識し、調査ではなく妨害に腐心している」と述べた。

またナガー氏は5月の議会選挙で国に変化が訪れることを望んでいると語った。「ヒズボラ政権を排除することが、娘や他の犠牲者に正義をもたらすための唯一の解決策なのです」

遺族たちは遺影を手に港へ向かって行進した。AP通信によると、港の事故現場近くではシリア難民と思われる女性たちが記念碑の前で犠牲者に祈りを捧げていたという。

遺族たちは爆発時刻の午後6時7分にろうそくを灯した。

息子を失った女性は「私たちは戦い続ける」と誓った。「彼らに責任を取らせるまで、私たちは止まりません...」

レバノンは近代史上最悪と呼ばれている経済危機の真っただ中にあり、貧困率は人口の90%近くに達し、通貨は暴落し、ハイパーインフレは国民の預金を紙屑に変え、失業率を前例のないレベルに押し上げた。これらは主にヒズボラの不作為によるものである。

2020年8月5日/レバノン、ベイルート港(Getty Images/AFP通信)
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