◎最新の世論調査によると、マクロン大統領の支持率は極右のル・ペン党首や他の挑戦者を大きくリードしている。
2022年3月31日/フランス、西部フラの魚屋で有権者と話すマクロン大統領(Jeremias Gonzalez/AP通信)

フランスのマクロン大統領は2日、再選に向け初の大規模な集会を開き、今後5年間の進歩と連帯を約束し、「マッキンゼー事件」に言及した。

マッキンゼー事件はコロナワクチン接種キャンペーンやその他の政策でフランス政府に助言するために雇われた米国の大手コンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」に由来している。

上院の新しい報告書は政府の民間コンサルタント利用を疑問視し、マッキンゼーの税金逃れを非難している。

この問題はマクロン大統領のライバルを活気づけ、4月10日の大統領選第1回投票に向けた選挙活動でマクロン大統領を苦しめている。第1ラウンドで過半数を獲得する候補者が出なかった場合は4月24日の決選投票で勝者を決める。

最新の世論調査によると、マクロン大統領の支持率はロシア・ウクライナ戦争を終わらせるための外交努力の先頭に立ったことなどが評価され、極右のル・ペン党首や他の挑戦者を大きくリードしている。

マクロン大統領はスタジアムに集まった約3万人の聴衆に、「私たちは未来のために、私たちのフランスのために、そして進歩、連帯、独立を進める取り組みを可能にするためにここにいます」と語った。「生活苦、不安......そして、過激派を追い返すには、もっともっと多くのことを成し遂げなければなりません」

マクロン大統領はウクライナ侵攻によるインフレの影響でガソリン、電気ガス代、家賃の支払いに苦労している市民に、「今年の夏にも企業が最大6,000ユーロ(約81万円)の非課税ボーナスを支給できるようにする」と約束した。

また、フルタイムで働いた人の最低年金を現在の月約700ユーロから1,100ユーロ(約15万円)に引き上げることも約束した。この計画を実現するためには、定年退職年齢を62歳から65歳に段階的に引き上げる必要があるという。

支持者たちは、「マクロン!大統領!」「あと5年!」などと唱え、公約を歓迎した。

しかし、マクロン大統領を失脚させたい人々は「マッキンゼー事件」を追求している。

批評家たちは政府が昨年マッキンゼーのようなコンサルティング会社に費やした10億ユーロを「フランス政治の民営化とアメリカ化」と表現し、より透明性の高いものを要求している。

野党が多数派を占める上院が先月公表した報告書によると、コンサルティング会社への支払いはこの3年間で倍増したという。これにはアイルランドに本拠を置く多国籍企業アクセンチュアやフランスのグループ会社キャップジェミニなどの大企業を含む数十の民間企業が関与している

また報告書によると、マッキンゼーは少なくとも2011年以降、フランスで法人利益税を支払っておらず、代わりに米国の親会社を通じて税の最適化システムを利用していた。この手続きは合法である。

マッキンゼーはフランス政府にコロナワクチンの予防接種キャンペーンに関する助言を行った。このキャンペーンは当初は頓挫したものの、最終的には世界で最も包括的なキャンペーンのひとつになった。また、住宅改革や亡命政策などについても助言している。

予算相はコンサルタントに費やした公費について、「政府が公務員の給与に使った額の約0.3%で、マッキンゼーへの支払いはそのごく一部に過ぎない」と指摘し、選挙戦のライバルがマクロン大統領の評価を下げるために事件を膨らませていると非難した。

しかし、この事件はマクロン大統領の頭を悩ませている。マクロン大統領は行く先々でこの事件について尋ねられる。

マクロン大統領は1日の集会で、「ここ数日、米国の会社が脱税したという噂をよく耳にする」と語った。「地方政府もコンサルティング会社を使っています。怒りをあらわにする人たちは思い出してください。そして彼らは法を遵守しています...」

またマクロン大統領は企業に公正な税負担を求める仏政府と世界の戦いを引用した。「欧州の最低税は私たちが戦い実現したのです...」

フランスは昨年10月に130カ国以上が合意した最低法人税15%をEU加盟27カ国の中で最も早く実現するよう働きかけていた。

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