◎メキシコのロシアに対する立場は明らかに矛盾している。
メキシコの与党国民再生運動(MORENA)は23日、メキシコ・ロシア友好委員会を発足させ、両国の関係強化に向けた取り組みを推進すると誓った。
地元メディアによると、発足式にはMORENAと労働党の議員少なくとも20人が出席したという。
メキシコ議会はウクライナ侵攻にもかかわらずロシアへの同情を示しており、西側諸国をガッカリさせている。
MORENAと労働党の議員は発足式で演説したロシアのコロネリ大使に拍手を送った。
コロネリ大使は、「メキシコ・ロシア友好委員会はウクライナでの特別軍事作戦と、途方もないメディア戦争に直面しているロシアへの支援、友情、連帯のしるしです」と語った。「ロシアは特別軍事作戦で虐殺を終わらせようとしているのです...」
MORENAのカスティーリョ下院議員は、「メキシコはあらゆる面でメキシコとロシアの友好関係、協力を深めるためにできる限りのことをする用意があります」と述べ、コロネリ大使の演説に応えた。
メキシコはウクライナへの援助と対ロシア制裁への参加を拒否しているが、侵略を非難する国連決議には賛成票を投じた。
しかしオブラドール大統領は23日、「メキシコは中立である」と宣言した。「紛争に関して、我々は賛成でも反対でもありません。我々は中立です...」
コロネリ大使はウクライナ危機におけるメキシコ政府の姿勢、立場を高く評価すると述べた。
しかし、メキシコの立場は明らかに矛盾している。
国連のメキシコ大使はフランスと共に、ウクライナの人道的危機をロシアの侵略のせいとする決議案を提出した。これはロシアの拒否権で却下されている。
案が拒否されると、メキシコとフランスは拒否権のない国連総会に提案を持ち込んだ。これは23日に議論されている。
ロシアのネベンジャ国連大使は総会で、「フランスとメキシコの決議案に関与する国は、反ロシアショーに関与したと見なされる」と述べた。
しかしMORENAは、国内では親ロシア的なスタンスをとっているように見える。
MORENAの支持者と思われる団体は今月上旬、ロシア大使にウクライナ侵攻を支持する公開書簡を送り、話題を集めた。
団体は公開書簡に、「私たちはロシア政府とプーチン大統領が自国民の正当な防衛に従事し、より大きな軍事衝突を回避して世界平和を維持するために、ネオナチとクーデターを主導する勢力を弱めるためにウクライナ領土に軍事介入せざるを得なかった困難な決断を、道徳的にも政治的にも支持しています」と書いている。
オブラドール大統領の報道官はこの団体について、「MORENAの公式団体ではない」と述べている。
しかし、MORENAは別の声明で、「我々は党員の思想の自由を尊重するが、少なくともこの公開書簡はMORENAの公式見解を示すものではない」と述べ、公開書簡に書かれた見解が一部の党員の間に存在することを示唆した。
メキシコ自治工科大学のエステベス教授はAP通信の取材に対し、「オブラドールとMORENAの立場は、1960年代のラテンアメリカにおける左翼主義を思い起こさせる」と説明した。
またエステベス教授は米国の侵略(米墨戦争)で領土の半分を失った積年の恨みも反映されていると指摘した。「メキシコ政府は西側の外交政策のために米国に屈したと思われたくないのです。しかし、国民の大多数は1960年代と70年代の左翼運動と反帝国主義を望んでいません。MORENAは、メキシコは米国の飼い犬ではないと主張したいのでしょう...」