◎トレビーニョは米国籍を持つ指名手配犯で、麻薬取引とマネーロンダリングの罪に問われている。
2007年/メキシコ警察の特殊部隊(Getty-Images/AFP通信/PAメディア)

メキシコ警察は15日、北東部の国境付近で警察と衝突した麻薬カルテルのリーダー、フアン・ジェラルド・トレビーニョを逮捕し、米国に送還したと発表した。

メキシコ警察によると、カルテルの戦闘員は14日の深夜に国境の町ヌエボ・ラレドで特殊部隊と衝突し、激しい銃撃戦を繰り広げたという。

トレビーニョは米国籍を持つ指名手配犯で、麻薬取引とマネーロンダリングの罪に問われている。

また米政府当局者はロイター通信に対し、「容疑者はメキシコでの殺人、テロ、恐喝、犯罪組織の創設などの容疑でも起訴される」と語った。

メキシコのエブラルド外相は15日、地元メディアの取材に対し、「トレビーニョの逮捕は過去10年のカルテル戦争の中で最も重要な出来事のひとつ」と述べ、当局を称賛した。

銃撃戦が発生したヌエボ・ラレドはメキシコで最も暴力的な地域のひとつであるタマウリパス州の主要都市で、カルテル、武装勢力、ギャングの抗争が各地で報告されている。

警察当局は逮捕劇の数日前、トレビーニョの首に10万ドル(約1,170万円)の懸賞金をかけると発表していた。

トレビーニョは北部地域に拠点を置くノースイースト・カルテルとその武装組織トループス・フロム・ヘルを率いていたと伝えられている。

トレビーニョの叔父は悪名高い伝説の麻薬カルテル「ロス・セタス」の最高幹部だったミゲル・トレビーニョ・モラレスである。モラレスは2013年に逮捕され、虐殺と世界規模の麻薬密売を主導した罪で終身刑を言い渡された。

ロス・セタスは1990年代後半から活動を開始した麻薬カルテルで、1,000人以上の死者を出したと推定されているシナロア・カルテルとの壮絶な抗争を引き起こした。

ロス・セタスの構成員は対立組織の構成員を拷問し、バラバラに切断したり酸で溶かすなどの凶行を平然と行い、世界を震え上がらせた。

ロス・セタスの幹部はほとんど逮捕されており、現在はノースイースト・カルテルを含む複数の組織に分裂し、各地で争いを続けている。

ソーシャルメディアには銃撃戦が繰り広げられたヌエボ・ラレドの市街地の写真や動画が複数投稿されている。米国とメキシコを結ぶ一部の国境検問所は一時的に閉鎖された。

メキシコの国防相によると、カルテルは38の政府施設と22の軍司令部を攻撃したという。またヌエボ・ラレドの米国領事館も被害を受け、一時閉鎖を余儀なくされた。

タマウリパス州で活動するカルテルは領土をめぐって激しく対立しており、毎年多くの死者と行方不明者を出している。

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