◎中国はゼロコロナ政策を推進しており、対策を緩める兆候は今のところ見られない。
3月14日、中国は2020年初頭にコロナウイルスの感染拡大が始まって以来、最大の危機に瀕している。
主要メディアによると、14日時点でロックダウンされた都市は北東部の吉林省全体(人口2400万人)、南部の深セン市(人口1750万人)および東莞市(1000万人)に増加し、5000万人以上が封鎖下に置かれたという。
14日の全国の新規陽性は1,437件で、他の主要国に比べるとはるかに少ない。1週間前は300件だった。
世界はコロナとの共存に向けた取り組みを進めているが、中国はゼロコロナ政策を推進しており、対策を緩める兆候は今のところ見られない。
オミクロン株の震源地になった吉林省では895件の新規陽性が報告され、アジアの金融ハブである上海市でも陽性者が複数報告されている。上海市当局は市内の消毒作業を始めている。
吉林省の当局者は14日午後、すでに封鎖されていた長春市を含む吉林省全体をロックダウンすると発表した。
中国のシリコンバレーと呼ばれている深セン市の住民1750万人はPCR検査を3回受けるよう命じられ、市内の公共交通機関はすべて停止し、社会インフラの維持に必要な企業以外は3月20日まで閉鎖されている。その結果、Appleのサプライヤーであるフォックスコンはこの地域にある2つの工場を閉鎖し、生産拠点を他の場所に移した。
厳格なロックダウンは深セン市の製造業とハイテク産業を脅かしている。同市には通信機器最大手のファーウェイとテンセントの本社がある。
香港大学のタン教授は米ABCニュースのインタビューの中で、「ロックダウンが何週間も続くようであれば、インフレリスクを含む様々な問題が出てくるだろう」と語った。
香港中文大学のソング教授は2020年に武漢市がほぼ2カ月間閉鎖された結果、中国のGDPの2%が失われたと推定している。
国営メディアは、吉林市の市長と長春市の衛生委員会の責任者が週末に解任されたと報じている。地方当局者にも大きな圧力がかかっているようだ。
隣国の香港でもオミクロン株の大流行が続いている。保健当局は14日、新たに26,908件の陽性と286人の死亡を確認したと発表した。香港の死亡率は先進国の中で最も高い。
香港に派遣された中国本土の建設チームは1週間で3,900人を収容できる隔離施設を建設したと伝えられている。
アジアの金融ハブのひとつである香港も厳しい制限を導入しており、4月下旬まで多くの企業が休業を余儀なくされている。