◎フランスの国民は28日、大統領候補の集会ではなく、マクロン大統領とウラジーミル・プーチン大統領の電話会談に注目していた。
2月28日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は4月の大統領選への立候補を正式に表明していないが、各紙の世論調査で他の候補に大きく差をつけている。
フランスの国民は28日、大統領候補の集会ではなく、マクロン大統領とウラジーミル・プーチン大統領の電話会談に注目していた。
2022仏大統領選の第1ラウンドは4月10日に行われる予定。第1ラウンドで過半数を獲得する候補者が出なかった場合は4月24日の決選投票で勝者を決める。
一部のメディアは先週、マクロン大統領はまもなく立候補を表明すると予想していた。
マクロン陣営はロシアのウクライナ侵攻で計画変更を余儀なくされたと伝えられている。
野党候補は何週間も前から全国各地で選挙集会を開催しているが、マクロン大統領は国内の会議で政策の一部を紹介する程度にとどめている。なお、ロシアが侵攻した影響でどの陣営も政治戦略の変更や集会の中止を余儀なくされており、選挙戦の後半がどのようなものになるかは不明。
しかし、最近の世論調査によると、集会を全く開催していないマクロン大統領の支持率は急上昇しており、第1ラウンドの調査では2位のマリーヌ・ル・ペン党首(国民連合)に10%ほど差をつけている。
<第1ラウンドの世論調査>
▽ハリス・インタラクティブ社
マクロン:27% ル・ペン:17%
▽フランス世論研究所
マクロン:28% ル・ペン:16%
▽ポリティコ社
マクロン:26% ル・ペン:17%
野党陣営の関係者は地元メディアのインタビューの中で、「今マクロン大統領を攻撃することは難しい」と述べている。
ル・ペン陣営の広報担当であるタンギー氏も同様の見解を示した。タンギー氏はポリティコ社の取材に対し、「今、国際舞台でフランスを代表しているマクロンを攻撃することはできない」と語った。
マクロン大統領は国内スケジュールを大幅に減らし、集会も全く行っていないが、支持率はひとりでに上昇している。一部の専門家はマクロン陣営の戦略を称賛し、「マクロン大統領は選挙より同盟国の危機を優先すると国民にアピールし、支持率を稼いでいる」と指摘している。
フランス24などの一部メディアは、3月5日にマルセイユで予定されていたマクロン大統領の最初の選挙集会は中止される可能性が高いと報じている。
マクロン大統領は、政敵が大統領選を争う中、プーチン大統領に何度も電話をかけ、戦争回避に努めてきた。一連の外交努力は失敗に終わったように見えるが、国民はマクロン大統領の電話攻勢を評価したようである。
マクロン大統領の共和国前進(REM)の広報担当はポリティコ社のインタビューの中で、「戦争が続いている今、大規模で騒々しい集会を開くことはできないだろう」と述べた。「マクロン大統領は選挙ではなくウクライナと欧州の未来を優先しています...」
野党は選挙運動を控えるというマクロン大統領の決断を、歯を食いしばりながら歓迎している。ある左翼候補は左派系ラジオの取材に対し、「マクロンはコロナだけでなく戦争も利用するつもりだ」と語った。
社会党の高官も、「マクロンは自らを国家の父と称し、今回の選挙をただの更新手続きと見なしている」と述べている。
マクロン大統領はロシアが侵攻を開始すると、「EU当局は対ロシア制裁に及び腰だ」と批判し、金融制裁、ロシア機の領空締め出し、国営放送RTの排除など、大胆な行動を取るよう強く促した。
一方、ユーロ懐疑論とナショナリズムの再燃に乗じて世論を席巻していた極右勢力は、これまでの親プーチン路線を覆さざるを得なくなっている。
ル・ペン党首は以前、ロシアのクリミア併合を支持し、ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワルニー氏の釈放を求めず、プーチン大統領を称賛すると発言していた。
反EU、反移民、反イスラム、反ゲイ政策を推進しているサプライズ極右候補のエリック・ゼムール氏は、支持者から「フランスのプーチン」と呼ばれる動画や、プーチン大統領を「政治的正当性の嵐に対する最後の抵抗者」と賞賛する動画が流出するなど、ここ数日大変な状況に陥っている。
しかし、一部の野党関係者は、ウクライナ危機はマクロン大統領にも悪い影響を与えると信じている。
共和党のヴァレリー・ペクレス候補は28日、「戦争はすべてを不透明にしている」とソーシャルメディアに投稿した。「戦争の長期化はフランスの失敗であり、マクロンの失敗でもあります」
またペクレス候補は、「マクロンはプーチンとの交渉で自分を前面に出し、何かを得たとほのめかしたが、何も起こらなかった」と批判した。
<第2ラウンドの世論調査>
▽ハリス・インタラクティブ社
マクロン:55% ル・ペン:45%
▽ポリティコ社
マクロン:56% ル・ペン:44%