◎国家警察はコメントを出しておらず、処刑された2人の身元も不明だ。
2023年6月6日/ハイチ、首都ポルトープランス、タイヤを燃やす暴徒(AP通信)

ハイチの首都ポルトープランスで13日、自警団とみられる武装兵がスラム街で銃を乱射し、多くの住民が避難を余儀なくされた。

国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」は声明で、「自警団とみられる兵士たちがポルトープランスのスラム街で救急車を襲い、タイヤを引き裂き、医療従事者に催涙ガスを浴びせ、患者2人を処刑した」と報告した。

国家警察はコメントを出しておらず、処刑された2人の身元も不明だ。

AP通信は目撃者の話しとして、「自警団はストリートファイトで負傷したギャングの戦闘員2人を救急車から引きずり下ろし、ナタで切り刻んだ」と伝えている。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは2年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。

ポルトープランスの80~90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は先月初め頃から激化。中部アルティボニット県では地元で「グラン・グリフ」と呼ばれているギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

暫定大統領評議会は先週末、コニーユ(Garry Conille)首相を突然解任し、フィスエイム(Alix Didier Fils-Aimé)氏を後任に指名した。解任の理由は明らかにしていない。

混乱が続く中、ギャングは今週初め、ポルトープランスの国際空港を発着する旅客機に向け発砲。米格安航空会社スピリット航空、ジェットブルー、アメリカン航空の旅客機を追い払った。

米連邦航空局(FAA)はこの事態を受け、ハイチ発着の便を30日間停止するよう航空各社に命じた。

国連もポルトープランスへのフライトを一時的に停止。「人道支援の搬入が制限される事態となっている」と非難した。

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