▽地元の人権団体やNGOは一連のギャング間抗争と暴力で1万人以上が死亡または行方不明になったと報告している。
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米政府が2日、中米ハイチで猛威を振るう2つのギャングを「外国テロ組織」と「国際テロリスト」に指定した。
対象となったのは首都ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と中部アルティボニット県に拠点を置く「グラン・グリフ」。
ルビオ(Marco Rubio)国務長官は声明で、「両組織はこの地域における米国の国家安全保障上の利益に対する直接的な脅威である」と述べ、両組織に物質的支援や資源を提供することは刑事責任を問われ、米国への入国拒否や国外退去につながる可能性があるとした。
財務省もグラン・グリフを制裁対象に追加した。ヴィヴ・アンサムはすでにリスト入りしている。
ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。
ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。
ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられるギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。
最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ヴィヴ・アンサムと対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。
一連の暴力とギャング間抗争により100万人以上が住居を失い、その多くが避難所に身を寄せている。
米国を含む近隣諸国は人道上の懸念からハイチ移民を送還しないよう国連が要請しているにもかかわらず、強制送還を続けている。
さらにトランプ政権の対外援助削減はハイチの人道支援に深刻な影響を与え、状況を複雑にしている。
国連はハイチのギャングに米国製の銃が流れるのを防ぐため、より厳しい対策を求めている。
国連のハイチ代表は今週初め、国際社会に対し、ハイチの状況は急速に悪化し、飢餓のリスクが劇的に高まっていると警告。ポルトープランスの大統領府や暫定大統領評議会が拠点を置く国会議事堂が陥落すれば、取り返しのつかない事態になると警鐘を鳴らした。
国際的な努力にもかかわらず、国連安全保障理事会が承認したケニア主導の支援ミッションはこれまでのところ、ギャング暴力にほとんど対処できていない。
このミッションは2500人の警察官と軍兵士で構成されるはずだったが、現在、6カ国から約1000人の警察官しか派遣されておらず、深刻な人員不足に陥っている。
米国やカナダは支援ミッションを平和維持部隊に格上げするよう求めているが、中国とロシアが難色を示している。