◎国連総会は大規模な火山の噴火に直面したセントビンセントおよびグレナディーン諸島への継続的な財政支援を求める決議案を採択した。
2021年4月13日/セントビンセント・グレナディーン、スフリエール山(AP通信/Orvil Samuel)

4月28日、国連総会は大規模な火山の噴火に直面したセントビンセントおよびグレナディーン諸島への継続的な財政支援を求める決議案を採択した。

193名の委員はアントニオ・グテーレス事務総長に、セントビンセント島のスフリエール山の噴火で影響を受けた国々に対する支援を世界に求めるよう要請した。

スフリエール山の噴火は4月9日に発生した。噴煙は高度10,000mに達し、火山灰は隣国の島々にも大きな影響を与え、セントビンセント島の住民16,000人以上が避難を余儀なくされたと伝えられている。

国連は先週、セントビンセントの復旧に必要な2,920万ドル(約32億円)を各国に拠出するよう求めた。当局によると、予算は火山灰の影響で崩壊または損傷した住宅への支援、農家への支援、水道設備の復旧、火山灰の除去などに充てられる予定だという。

政府当局者はAP通信の取材に対し、「火山灰はスフリエール山の麓の住宅やインフラに深刻な影響を与えた」と述べた。「麓の町や集落は火山灰に埋もれました。火山灰は多いところで40cm以上積もり、住宅は崩壊し、排水設備も詰まってしまいました。電気設備も深刻な被害を受けています...」

地元メディアによると、4月28日時点で6,200人以上が島内に準備された政府の避難所にとどまり、数千人が民間施設などに身を寄せているという。

国連総会は採択した決議の中で、「爆発的噴火は島の産業、食糧供給、医療サービス、および社会インフラに深刻な被害を与えた」と懸念を表明した。また、近隣諸国の経済とインフラへの影響についても懸念を表明している。

国連総会は声明で、「世界は困難に直面しているセントビンセントと近隣諸国の復旧活動を支援しなければならない」と述べた。「グテーレス事務総長は、セントビンセントおよびその他の影響を受けた国々への支援を増やすよう国際社会に要請し、国際金融機関などの組織も被害国に寛大に対応しなければなりません」

リンダ・トーマス・グリーンフィールド米国大使は採択後の記者会見で、「セントビンセントおよびグレナディーン諸島の市民に救済をもたらすために、国際社会は団結して2,920万ドルの資金調達目標を速やかに達成しなければならない」と述べた。

2021年4月13日/セントビンセント・グレナディーン、首都キングスタウンに降り積もった灰(AP通信/Orvil Samuel)

セントビンセントの首都キングスタウンでは4月29日未明に降ったの影響で、降り積もった火山灰が地滑りを起こし、洪水も発生したという。当局者は一部地域の家屋、車両、電柱などが被害を受けたが、死傷者は確認されていないと述べた。「スフリエール山の麓の農村でも雨と火山灰の影響で地滑りや洪水が発生し、村と市街地を結ぶ橋も被害を受けました...」

ジャマイカのウェストインディーズ大学地震研究センターの火山地震学者、ロデリック・スチュワート教授は現地メディアの取材に対し、「少量の雨でも大きな災害につながる可能性がある」と警告した。「斜面に積もった火山灰は泥流を引き起こす可能性があります。特に麓近くの集落は注意しなければなりません」

スチュワート教授によると、スフリエール山の火山活動は落ち着きつつあるが、小規模な噴火や地震はいつ発生してもおかしくない状況だという。

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