◎ニカラグアは2018年4月の暴動以来、政治的・社会的混乱に陥っており、20万人以上が国外に脱出。そのほとんどが隣国コスタリカに逃れた。
2023年2月11日/ニカラグア、首都マナグアで行われた与党支持集会(AP通信)

ニカラグアの首都マナグアで11日、独裁者のオルテガ(Daniel Ortega)大統領と与党「サンディニスタ民族解放戦線(FSLN)」の支持者が集会を開き、市内を練り歩いた。

参加者たちはオルテガ氏が野党指導者、司祭、活動家、学生、ジャーナリストなど、計222人の国外追放を決めたことを祝った。

人々はFSLNの旗やオルテガ氏の写真を掲げて市内を行進。警察官はほとんど配備されず、穏やかな雰囲気の中で集会が開かれ、数千人がFSLN議員の演説に聞き入った。

オルテガ氏は反対意見を取り締まるために2000以上の非政府組織と50以上のメディアに閉鎖を命じている。

ニカラグアは2018年4月の暴動以来、政治的・社会的混乱に陥っており、20万人以上が国外に脱出。そのほとんどが隣国コスタリカに逃れた。

オルテガ氏の妻であるムリジョ(Rosario Murillo)副大統領の写真を掲げた女性は地元メディアの取材に対し、「ニカラグアは主権を守り、ヤンキー帝国に立ち向かうのです」と語った。

オルテガ氏は米国をヤンキー帝国、EU首脳を「ヒトラーの弟」と呼んでいる。

オルテガ氏は今週、投獄されていた反政権派222人を米ワシントンD.C.に送った。米政府は決定に至った詳細を明らかにせず、「全員が人道的理由で釈放され、米国への亡命を認められた」と説明している。

オルテガ氏は「妻が国外追放を決めた」と主張。「帝国の支援を受けるテロリストを追放した」と述べた。

222人を乗せた飛行機がワシントンD.C.に向かう中、連邦議会は222人からニカラグアの市民権を剥奪する法案を可決した。

米政府は亡命を認め、スペイン政府も222人全員にスペインの市民権を付与した。

米政府は弾圧を続けるオルテガ政権が野党議員を含む222人の解放を認めたことを「良い兆候」と呼んだ。

欧米諸国はオルテガ政権に厳しい経済制裁を科している。

一方、マナグアの裁判所は11日、反政権派を擁護するローマカトリックのアルバレス(Rolando Álvarez)司祭に禁固26年を宣告した。人権団体によると、裁判は刑務所内で行われた。

アルバレス氏は出国するチャンスを与えられたものの、これを拒否。今週投獄され、刑務所内で判決を受けた。ニカラグアのカトリック指導者は今のところ声明を出していない。

集会に参加した男性は地元メディアに、「俺たちの政府が帝国傭兵部隊を打ち負かしたので、行進しているのさ」と語った。

2018年9月11日/ニカラグア、オルテガ大統領(右)と妻のムリジョ副大統領(Getty Images/AFP通信)
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