◎オルテガ大統領は昨年11月の不正総選挙で4期目を決めて以来、野党議員を含む政敵の排除と投獄を進めている。
2018年7月13日/ニカラグア、警察官と写真を撮るオルテガ大統領(中央)(Cristobal Venegas/AP通信)

中米ニカラグアのメディアは9日、地元の独立系メディアの関係者少なくとも2人が警察の襲撃を受け投獄されたと報じた。

独立系新聞「ラ・プレンサ(La Prensa)」によると、警察は同紙のジャーナリスト2人の自宅を家宅捜索し、運転手2人を投獄したという。

同紙は故マザー・テレサ(Mother Teresa)が創設した慈善団体を含む101の団体、NGO、市民グループが6月末に閉鎖を命じられた問題について調査していた。

独裁者のオルテガ(Daniel Ortega)大統領は政府に批判的な組織や市民団体を徹底的に弾圧し、マザー・テレサの「神の愛の宣教師会(Missionaries of Charity)」も対象となった。

AP通信は情報筋の話を引用し、「警察は逮捕した運転手2人を刑務所に投獄した」と報じている。

オルテガ政権は野党議員や人権団体の関係者を含む少なくとも190人を投獄し、刑務所内の秘密裁判所で長期刑を宣告している。

ラ・プレンサの経営者の娘はAP通信の取材に対し、「父は昨年8月の投獄以来、慢性疾患と複数の健康問題に苦しんでいる」と語った。警察はラ・プレンサの事務所を襲撃し、経営者を逮捕。その後、刑務所内の秘密裁判所で経営者に禁固9年を宣告した。

オルテガ氏がこの4年間で閉鎖を命じた人権団体や組織は750を超えた。オルテガ氏はこれらの団体を「西側諸国の手先」と呼んでいる。

2020年に施行された法律は政府に批判的な団体や野党とつながりのあるNGOを「外国エージェント」に指定し、取り締まりの対象としている。

ニカラグアで30年以上奉仕活動を行ってきた神の愛の宣教師会は児童福祉施設、女子寮、高齢者施設などを運営していた。

閉鎖を命じられた団体の多くが、貧困にあえぐ最も疎外された人々を支援することに専念していた。

オルテガ氏は昨年11月の不正総選挙で4期目を決めて以来、野党議員を含む政敵の排除と投獄を進めている。

オルテガ氏は総選挙に先立ち、主要な大統領候補7人を反逆罪に相当する容疑で刑務所に送り、その他の野党関係者数十人も合わせて投獄した。逮捕された議員らは刑務所所内で裁判にかけられ、長期刑を言い渡されている。

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