◎米政府は今年1月、中南米の不法移民が急増していることを受け、対策を強化した。
2023年3月31日/メキシコ、北部チワワ州シウダー・フアレスの移民収容施設前(Fernando Llano/AP通信)

メキシコのオブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は31日、米テキサス州と国境を接する北部チワワ州シウダー・フアレスの移民収容施設で27日に発生した火災の責任は米国にあるという見方を示した。

この火災は27日の午後10時頃(現地時間)に発生。収容されていた中南米の移民39人が死亡する大惨事となった。

オブラドール氏は定例会見で、「この悲劇は私の魂を引き裂いた」と語った。

報道によると、オブラドール氏は31日中にシウダー・フアレスを訪問し、この火災で負傷した移民が入院する病院にも立ち寄る予定だという。

米政府は今年1月、中南米の不法移民が急増していることを受け、対策を強化した。

バイデン政権の新しい規則はキューバ、ハイチ、ニカラグア、ベネズエラの亡命希望者を毎月3万人受け入れ、2年間の労働許可を与えるとしているが、許可を得るためには身元確認を含む「正規の入国手続き」をクリアしなければならない。

さらにメキシコ政府は同月、コロナの世界的な大流行を受けトランプ政権が施行した移民抑制政策「タイトル42」に基づき、米国から強制送還された移民を引き取ることに合意した。

タイトル42は米国内で拘束された不法入国者を入国前の国に戻し、法に基づいた亡命申請の機会を与えるものである。

報道によると、27日の火災は施設に収容されている移民が起こしたという。母国に強制送還されることを知った移民が怒ってマットレスに火を放ったようだ。

施設の入り口付近には犠牲者を悼む献花台が設けられた。

しかし、シウダー・フアレスの多くの住民は市内に中米とベネズエラの移民が押し寄せ、小銭をねだり、国境の橋を占領していることにウンザリしているようだ。

米国に気に入られたいオブラドール氏はメキシコを横断して米国境を目指す移民の取り締まりを推進している。

オブラドール氏は記者会見の中で、「米国はウクライナに軍事援助を送るより、移民の生活支援と南米の経済発展に予算を費やすべきだ」と怒りを露わにした。

またオブラドール氏は「米国はメキシコにとどまる移民に現金を支給すべきだ」と主張した。「米政府がウクライナに送っている数百億ドルと移民に送っているものを比べてみなさい。おかしいと思いませんか?」

しかし、米メキシコ両政府は移民問題を棚上げし、行き詰まりがもたらす事故の調査を地元当局に任せ、移民を厄介者と考えている。

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