◎火災は27日の午後10時頃(現地時間)に発生した。
2023年3月28日/メキシコ、北部チワワ州シウダー・フアレスの移民収容施設前(Jose Luis Gonzalez/ロイター通信)

メキシコ政府は28日、米テキサス州と国境を接する北部チワワ州シウダー・フアレスの移民収容施設で火災が発生し、少なくとも39人が死亡したと発表した。

オブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は定例記者会見で、「施設に収容されている移民が火を放ち、燃え広がった」と語った。

それによると、強制送還されると知った移民がマットレスに火を放ったという。

オブラドール氏は犠牲者に哀悼の意を表し、警察が捜査を進めていると説明した。

警察によると、この施設に収容されている移民の大半が中南米出身者だという。

チワワ州の消防当局は28日未明、「火災は27日の午後10時頃(現地時間)に発生した」と声明を出した。施設には男性68人が収容されていた。

消防によると、死亡した39人は全員移民。29人が負傷、数人が重度の火傷を負い、市内の医療機関に搬送された。

米政府は1月初め、中南米の不法移民が急増していることを受け、対策を強化した。

バイデン政権の新しい規則はキューバ、ハイチ、ニカラグア、ベネズエラの亡命希望者を毎月3万人受け入れ、2年間の労働許可を与えるとしているが、許可を得るためには身元確認を含む「正規の入国手続き」をクリアしなければならない。

さらにメキシコ政府は同月、コロナウイルスの世界的な大流行を受けトランプ政権が施行した移民抑制政策「タイトル42」に基づき、強制送還された移民を引き取ることに合意した。

タイトル42は米国内で拘束された不法入国者を入国前の国(主にメキシコ)に戻し、法に基づいた亡命申請の機会を与えるものである。

シウダー・フアレスはメキシコで最も治安の悪い都市のひとつとされ、麻薬組織「シナロアカルテル(Sinaloa Cartel)」の支援を受けるギャングなど、複数の武装集団が支配権を争っている。

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