◎メキシコはシリアやアフガニスタンなどの紛争地を除いて、記者にとって最も危険な国のひとつと考えられている。
2018年6月22日/メキシコ軍の兵士(Getty Images)

メキシコ当局は29日、国内で活動する男性ジャーナリストが北東部タマウリパス州シウダビクトリアの自宅前で何者かに射殺されたと発表した。

報道によると、この男性の娘も重傷を負ったという。

被害者は地方紙エクスプレッソ(Expreso)で働く47歳の記者。メキシコではジャーナリストに対する暴力や脅迫が相次いでおり、今年殺害されたジャーナリストはこれで12人となった。

メキシコはシリアやアフガニスタンなどの紛争地を除いて、記者にとって最も危険な国のひとつと考えられている。

今年5月には東部ベラクルス州でメキシコ人ジャーナリスト2人が何者かに殺害された。メキシコ政府の公式記録によると、2000年以降に殺害されたジャーナリストは150人を超え、今年の死亡者数は上半期の時点で過去最高を更新した。

報道の自由を求める団体は、「地方新聞社に勤務するジャーナリストが特に狙われやすい」と指摘し、政府に行動を起こすよう呼びかけている。

国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」はウェブサイトの声明で、「オブラドール(Andres Manuel Lopez Obrador)大統領は報道の自由を侵害する暴力の防止に必要な改革を実施していない」と述べている。

オブラドール氏は政府に批判的なメディアを敵視している。

エクスプレッソ紙が暴力や脅迫に直面したのは今回が初めてではない。2012年には同紙のオフィス前で自動車爆弾が爆発し、2018年には暴力事件を報道しないよう警告する脅迫文と人間の頭部が事務所に届いた。

タマウリパス州の知事は29日、事件を非難し、「連邦警察が捜査に当たっている」と述べた。

しかし、同国のジャーナリスト殺害事件が解決される可能性は極めて低く、政府の保護プログラムも不十分と非難されている。

ジャーナリストの権利保護活動を行っているNGOによると、現在、少なくとも15人のジャーナリストが行方不明になっているという。

一部の専門家は、麻薬カルテルが存在する限り、ジャーナリストは攻撃にさらされ続けると指摘している。

2018年/メキシコ、首都メキシコシティ、メキシコ警察の特殊部隊(Getty Images/AFP通信)
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