◎民間電力会社は主に再生可能エネルギー発電所を、国営電力会社は火力発電所を運用している。
2022年4月17日/メキシコ、首都メキシコシティの議会、電力自由化を見直す憲法改正に反対する野党議員たち(Luis Cortes/ロイター通信)

メキシコのオブラドール大統領は18日、電力自由化を見直す憲法改正案が野党の反対で廃案になったことを嘆き、野党議員を非難した。

オブラドール大統領は市場から外国企業を排除し、国営電力会社の収益を確保する憲法改正案を支持してきたが、野党議員たちは17日夜、憲法改正に必要な3分の2以上の賛成を見事に阻止した。

憲法が改正されれば、国営・州営電力会社を運営する連邦電力委員会(CFE)は国内市場の少なくとも54%を確保できる。政府は電気料金の高騰を防ぐためには自由化の見直しが必要と主張したが、野党はこれを否定した。

米国とカナダもオブラドール大統領の計画に深刻な懸念を表明し、国営企業を優遇する取り組みは自由貿易協定に反し、訴訟の嵐と投資家の信頼を失うことにつながると警告していた。

民間電力会社は主に再生可能エネルギー発電所を、国営電力会社は火力発電所を運用している。

米通商代表部のキャサリン・タイ代表は先月、「自由化の見直しは民間の投資を妨げるだけでなく、気候変動と戦う国際社会の努力を弱める」と述べていた。「メキシコのエネルギー政策は、環境、複数の分野における米国の企業や投資家の利益を損ない、気候変動に立ち向かうという国際社会の努力を阻害します...」

代議院(下院)は数時間に及ぶ審議の末、改正案を賛成275ー反対223で支持したものの、改正に必要な333議席には遠く及ばなかった。

しかし、オブラドール大統領は18日の記者会見で「これは始まりに過ぎない」と述べ、与党にリチウム採掘および関連事業を国有化する別の法案を審議するよう促した。

この法案が成立すると、メキシコ国内におけるリチウム採掘および事業の権利は国営企業にすべて移管される。オブラドール大統領はリチウムに関するいかなる権利も認めないと宣言したが、メキシコは現在、リチウムの商業生産を行っていない。

メキシコ経済研究教育センターの政治アナリストであるクレスポ氏はAFP通信のインタビューの中で、「憲法改正はエネルギー部門を国有化するというオブラドール大統領のプロジェクトの柱であり、廃案は大きな敗北を意味する」と述べた。

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