◎メキシコではこの2年で行方不明者を探すボランティア少なくとも7人が殺害されている。
2022年8月30日/メキシコ、首都メキシコシティ、「強制失踪の被害者のための国際デー」のイベント(Eduardo Verdugo/AP通信)

メキシコ中部グアナフアト州で行方不明者を探すボランティアの拠点に正体不明の武装集団が押し入り、女性を拉致、その夫と息子を殺害した。警察当局が17日、明らかにした。

それによると、この一家はグアナフアト州などで行方不明になった民間人を探すボランティアを行っていたという。

首都メキシコシティに拠点を置く人権団体は声明で、「麻薬カルテルとみられる武装集団は16日遅くに女性の家を急襲し、夫と息子を射殺した」と明らかにした。

州警察も夫と息子の死亡を確認し、女性が拉致されたとみられると声明を出した。

同国ではこの2年で行方不明者を探すボランティア少なくとも7人が殺害されている。ボランティアはカルテルやギャングに詳しい人や警察の情報を頼りに活動している。

グアナフアト州では世界最大の麻薬組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」や№2の「ハリスコ新世代(Jalisco New Generation)」、麻薬組織「湾岸カルテル」などが支配権をめぐって長年抗争を繰り広げてきた。

中央政府は行方不明者の捜索にほとんど予算を割り当てていない。その結果、ボランティアが10万~20万人と推定される行方不明者の捜索に参加せざるを得なくなっている。

国家警察はボランティアが発見した遺体や遺骨の身元特定に役立つデータベースを構築できておらず、導入する予定もないようだ、

メキシコはシリア、イエメン、アフガンなどの紛争地を除いて、世界で最も危険な国のひとつである。麻薬戦争に巻き込まれて死亡した民間人は35万~40万人と推定されている。

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