◎まもなく6年間の任期を終えるオブラドール大統領は集大成として、裁判官を国民投票で選出するなど、物議を醸している改革案を国会に提出した。
2024年9月3日/メキシコ、首都メキシコシティの国会議事堂近く、政府与党の司法制度改革案に抗議するデモ(AP通信)

メキシコの首都メキシコシティで3日、政府与党の司法制度改革案に抗議するデモが激化し、一部の市民が国会議事堂に押し寄せた。

現地メディアによると、デモ隊は議会下院の入り口に陣取り、オブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領と下院議長に法案を破り捨てるよう求めたという。

このデモには公務員や裁判所の職員も参加。与党・国家再生運動(MORENA)を「とんでもない悪党」と呼んだ。

最高裁判所を含む多くの公務員が憲法改正に抗議するためストライキを行っている。

現行制度では、裁判官とその補佐役である裁判所秘書官は、その記録に基づいて徐々に高い地位に就く資格を得る。

しかし、今回の改正案では、最低限の資格を持つ弁護士であれば誰でも裁判官に立候補できるようになる。法学部の学位と数年間の弁護士経験があれば、ほぼ誰でも裁判官になる権利を得ることができるのだ。

一部の専門家は経験の浅い政治的に偏った裁判官を生む可能性があると警告している。

オブラドール氏は以前から、多くの裁判官が汚職に手を染め、犯罪者を優遇していると批判してきた。

司法当局はこの主張を否定。麻薬カルテルやその他犯罪組織への対応に苦慮しているオブラドール政権がその責任を司法に負わせようとしていると批判している。

MORENAは憲法改正に必要な3分の2以上の議席を占めている。採決の時期は明らかになっていない。

AP通信は政府高官の話しとして、「改革を断念するつもりはなく、議員たちは近く法案を採決する計画だが、市中心部から離れたホテルやコンベンションセンターで会議を開くことになるかもしれない」と伝えている。

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