◎重武装したギャング数十人が病院に押し入り、新生児、子供、女性数十人を拘束し、病院に立てこもった。
2021年10月22日/ハイチ、首都ポルトープランス、武装ギャング「G9&Family」のリーダー(Matias Delacroix/AP通信)

中米ハイチの武装ギャングが首都ポルトープランスのスラム「シテ・ソレイユ」の病院に押し入り、新生児を含む数十人を拘束した。現地メディアが15日に報じた。

それによると、重武装したギャング数十人が病院に押し入り、新生児、子供、女性数十人を拘束し、病院に立てこもったという。

AP通信はこの病院の関係者の話しとして、「ギャングは病院を取り囲んだうえで周囲に火を放ち、近づいてきた者に向けてロケットランチャーを発射した」と伝えている。

病院は国家警察に救援を要請。まもなく装甲トラック3台とパトカー数台が到着し、別の建物にいた子供40人と患者70人を安全な場所に避難させた。

APによると、酸素吸入を必要とする子供も避難を余儀なくされたという。

この病院は市民の避難所としても機能していたようだ。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

ポルトープランスでは1年ほど前から複数の武装ギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。地元の人権団体はこの争いで民間人数千人が死亡または行方不明となり、数十万人が国外に逃亡したと推定している。

シテ・ソレイユは同国最大のギャングG9&Family」の支配下に置かれている。

国家警察はこの事件に関する声明を出しておらず、負傷者が出たかどうかも不明。

地元メディアによると、シテ・ソレイユの住民は日常的に暴力を振るわれたり、レイプ被害に遭ったりしているという。一連のギャング間抗争に巻き込まれて死亡した住民は数百人と推定されているが、被害の全容は明らかになっていない。

APは情報筋の話しとして、「病院に攻め込んだのはG9&Family傘下のブルックリン・ギャングとみられる」と報じた。

このギャングはG9&Familyのリーダーである通称「バーベキュー(Jimmy "Barbecue" Cherizier)」を同国の大統領にするよう中央政府に求めている。

その構成員数は約200人とされ、シテ・ソレイユの一部地域を支配。国連の報告書によると、このギャングは殺人、強盗、傷害、恐喝、略奪、レイプ、カージャックなど、一般市民に対する複数の暴力行為に関与している。

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