◎クロード・ジョセフ暫定首相はAP通信の取材に対し、「私たちは間違いなく支援を必要としており、パートナーに助けを求めました」と述べた。
2021年7月8日/ハイチ、首都ポルトープランスの警察庁舎、ジョブネル・モイーズ大統領の暗殺に関与したとされる傭兵たち(Jean Marc Hervé Abélard/AP通信)

米主要メディアによると、ハイチの暫定政府はアメリカに軍隊の配備を要請したという。

クロード・ジョセフ暫定首相はAP通信の取材に対し、「私たちは間違いなく支援を必要としており、パートナーに助けを求めました」と述べた。「米軍は大統領暗殺の混乱の終息と総選挙の準備を支援してくれると信じています...」

暫定政府はアメリカと国連に支援を求めたが、ホワイトハウスは9日、「現時点では」軍を派遣する計画はないと述べた。

ジョブネル・モイーズ大統領は7日未明に首都ポルトープランスの自宅で暗殺され、妻のマルティーヌ夫人も重傷を負った。ハイチ国家警察のレオン・チャールズ署長は容疑者に関する詳細情報をまだ公表していないが、17人を逮捕したことは明らかになった。

<容疑者の情報>
・傭兵28人で構成
・17人を逮捕
・3人を射殺(4人から修正)
・残り8人は逃走中
・26人はコロンビア人
・2人はハイチ系アメリカ人

ジョセフ暫定首相はインタビューの中で、モイーズ大統領の暗殺を利用して政権奪取を試みた反対派に失望したと述べた。

現地メディアによると、議会はジョセフ・ランバート上院議員を暫定大統領に指名し、モイーズ大統領から新首相に指名されていたアリエル・ヘンリー氏の就任を認めたという。

ハイチでは現職の大統領が死亡または職務を遂行できなくなった場合、憲法に基づき、最高裁判所の長官が暫定大統領に就任する。しかし、ルネ・シルヴェストル裁判長は5か月前にコロナで死亡した。

ジョセフ暫定首相はランバート暫定大統領には言及せず、「私は権力闘争に興味がない」と述べたうえで、総選挙の準備を進めなければならないと強調した。「国民は大統領を求めている。そして、新しい大統領は選挙で選出されなければなりません。私はアメリカを含む国際社会に支援を要請します」

コロンビアの首都ボゴタで記者会見を開いたホルヘ・ルイス・バルガス・バレンシア将軍は声明の中で、容疑者と「4社(組織と思われる)」の関与を調査していると明らかにしたが、それ以上の情報は捜査に支障をきたす可能性があるため公表しなかった。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は9日、「連邦捜査局(FBI)の高官と国土安全保障省の職員がハイチの状況を評価しており、準備が整い次第当局の要員を派遣する」と述べた。

FBIは声明で、「ハイチの米国大使館および法執行機関と具体的な支援に向けた協議を進めている」と述べた。

以下は事件の経緯。

ハイチ国家警察のチャールズ署長は8日、ペレリン地区で激しい銃撃戦が進行中と発表した。また、当局は人質になった警察官3人を何とか解放したことも明らかにした。チャールズ署長は当初、容疑者を4人射殺したと述べたが、その後3人に訂正した。

現地メディアによると、容疑者11人は首都ポルトープランスにある台湾の外交施設に逃げ込んだという。台湾当局は8日の声明で、「ハイチ警察から敷地内に容疑者が隠れていると連絡を受けた」と述べ、警察の立ち入りを許可し、容疑者11人は問題なく逮捕されたと明らかにした。

峡谷に身を潜めていた別の容疑者2人は、警察の捜索に加わった民間人に捕まったと伝えられている。

容疑者と伝えられている男1人の遺体は民家の屋根の上で、残り2人の遺体はモイーズ大統領の自宅近くで発見された。

コロンビア政府は逮捕された17人のうち、少なくとも6人がコロンビア軍の元兵士だったことを明らかにした。大統領官邸の近くで死亡した2人は、コロンビア人のマウリシオ・ハビエル・ロメオ・メディナとデュバニー・カパドール・ジラルドと特定され、どちらもコロンビア軍の元軍曹だったという。

ハイチの当局者は声明で、「容疑者は大統領を暗殺するために雇われたと確信している」と述べたが、それ以上の情報は提供しなかった。

モイーズ大統領は2017年の就任以来、世界で最も貧しく国のひとつであるハイチを率いてきたが、広範な汚職の申し立てと激しい抗議デモに直面していた。

抗議者たちはモイーズ大統領の任期は2021年2月7日に終了したと主張し、辞任を要求したが、モイーズ大統領は任期を1年延長すると発表した。ただし、2016年の大統領選挙は約1年遅れたため、モイーズ大統領の在任期間はまだ5年に達していない。

議会選挙は2019年10月に実施されるはずだったが、混乱の影響で延期されている。

ハイチで現職の大統領が殺害されたのは1915年以来106年ぶり。軍事クーデターで政権を奪取した当時のヴィルブルン・ギヨーム・サム大統領は、軍事政権に反対する市民ゲリラ組織の襲撃を受けフランス大使館に逃げ込んだが、ゲリラ組織は大使館を破壊し、サム大統領を捕らえ、公開処刑した。

2021年7月8日/ハイチ、首都ポルトープランスの警察庁舎、ジョブネル・モイーズ大統領の暗殺に関与したとされる傭兵たち(Jean Marc Hervé Abélard/AP通信)
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