◎M7.2の大地震は昨年8月14日に発生した。
2022年2月16日/ハイチ、南西部の都市レ・カイの市街地(Odelyn Joseph/AP通信)

2月16日、国連は半年前にハイチ西部で発生した大地震に関する会議で国際社会にさらなる支援を呼びかけた。

米国とEUは仮設テント生活を余儀なくされている市民数千人を支援するため、6億ドル(約700億円)の追加支援を提供すると約束した。

M7.2の大地震は昨年8月14日に発生した。震源は首都ポルトープランスの西約150キロの地点で、震源の深さは10キロ。犠牲者は推定2,200人、負傷者は12,000人以上、行方不明者は329人、被災した家屋は13万戸以上、全壊または損傷した学校は1,200校以上。経済損失はGDPの10%に相当する15億ドル(約1,700億円)以上と見積もられている。

国連のアミーナ・モハメッド副事務総長は演説の中で、「ハイチの復興には少なくとも20億ドルが必要」と強調し、国際社会にさらなる支援を呼びかけた。

またモハメッド副事務総長は、「多くの国がエネルギー価格の高騰やインフレに苦しめられていることを理解しているが、ハイチの支援を諦めるべきではない」と述べた。

ハイチのアリエル・アンリ首相は地震発生直後に国際社会が示した連帯に感謝したうえで、農村部の再建が特に遅れていると明らかにした。「政府は限りある予算でできる限りのことをしていますが、農村部の復興プロセスを開始するには3億ドル以上の資金が必要です...」

地震で自宅を失った市民数千人は、南西部の沿岸都市レ・カイの仮設キャンプでテント生活を送っている。AP通信の取材に応じた男性は、「川の水で何とか生き永らえている」と語った。「ここで生活している人々は地震ですべてを失いました...」

仮設キャンプの代表によると、地元当局の支援はここ数カ月滞っているという。男性は川の水をくむために毎日数キロ歩いていると述べた。

アリエル政権は住宅を含む社会部門に10億ドル以上、教育に4億ドル、食料に5,500万ドル、医療に3,200万ドル、交通インフラの修繕に1億4,200万ドル、農業に4,100万ドル、水と衛生に1,100万ドル、合わせて20億ドル近くが必要と述べている。

また、被災地の学校の70%が全壊または損傷し、地域の学生30万人以上が影響を受けたという。

ハイチの治安は昨年7月のジョブネル・モイーズ大統領暗殺事件と8月の大地震で急速に悪化し、ギャングの台頭、進行中の燃料危機、インフレは混乱に拍車をかけた。政府はモイーズ大統領の暗殺に関与したとされる民兵を追跡しているが、事件の全容はまだ解明されていない。

地元メディアによると、首都ポルトープランスでは賃上げを求める抗議デモが続いており、16日にも数千人が市内を行進したという。一部の暴徒化した抗議者は警察に石を投げつけ、建物に火をつけようとしたと伝えられている。

デモに参加した工場労働者グループは9時間働いて5ドル(約570円)では生きていけないと述べ、雇用主と政府に支援を求めた。グループの代表は最低15ドル(約1,700円)まで引き上げるよう要求している。

国連のモハメッド副事務総長は、「ハイチは岐路に立たされている」と指摘した。「私は長い間ハイチを苦しめてきた危機の連鎖を食い止めることができると信じています...」

2010年1月に首都ポルトープランスで発生したハイチ地震(M7.0)では約30万人が死亡したと推定されている。この地震でハイチの経済は荒廃し、10年以上たった今でも多くの市民が後遺症に悩まされている。

2022年2月16日/ハイチ、南西部の都市レ・カイの仮設テント、ブルーシートをたたむ男性(Odelyn Joseph/AP通信)
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