◎3月末以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は5万6000人を超え、そのうち約5万人が起訴されている。
2022年11月2日/エルサルバドル、サンタテクラの墓地(Salvador Melendez)/AP通信)

エルサルバドル政府は2日、国内で活動するギャングを掃討する作戦の一環として、ギャングの構成員の墓を破壊し始めた。

首都サンサルバドルに隣接するサンタテクラの市長は2日、市営墓地のギャングの墓約80基を取り壊し、ギャング関連の落書きを消したとSNSに投稿した。

市長は構成員の墓がハンマーで破壊される写真を投稿し、「この国にギャングは必要ない」と書き込んだ。「政府の使命はギャングを掃討し、痕跡を消し去り、市民に安全を実感してもらうことです...」

エルサルバドル政府は3月下旬に非常事態を宣言し、ギャングの取り締まりを続けている。

ブケレ(Nayib Bukele)大統領はギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、軍と警察の権限を強化し、刑法を大きく改正した。

3月末以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は5万6000人を超え、そのうち約5万人が起訴されている。また人権団体などによると、拘留中の人権侵害は数千件に達し、少なくとも80人が刑務所で死亡したという。

当局は3月以来、全国でギャングの落書きを消してきたが、墓を破壊することはなかった。

当局によると、サンタテクラは長い間、マラ・サルバトルチャ(通称MS-13)と呼ばれる中米最大のギャングの拠点になっていたという。

エルサルバドルのギャングは7万人以上と推定されている。MS-13やバリオ18などのギャングは長い間、郊外の町や集落を支配し、殺しやゆすりを平然と行ってきた。

サンタテクラの墓地で親戚の墓に花を手向けた男性はAP通信の取材に対し「町が平和になってうれしい」と語った。

この男性はギャングを「テロリスト」と呼び、「痕跡を消し去るべきだ」と述べた。「この国にテロリストの居場所はありません...」

連邦警察は2日、「サンタテクラの墓地で新たなギャング墓石が見つかったため、ハンマーで破壊した」と公式ツイッターに投稿した。

また連邦警察は、「西部サンタアナの住民からM-13に関連する墓石があるという報告を受けたため、機動隊を現地に派遣しハンマーでたたき壊した」と報告した。

最新の世論調査によると、多くの人権団体から批判が集まっているにもかかわらず、国民の大多数がギャング掃討作戦を支持しているという。

2022年3月30日/エルサルバドル、首都サンサルバドルの刑務所(Getty Images/AFP通信/PAメディア)
スポンサーリンク