ドミニカ首相、ハイチギャングとの対話求める、危機続く中

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。
2023年9月20日/ハイチ、首都ポルトープランス、ギャングの戦闘員(ロイター通信)

中米ドミニカのスケリット(Roosevelt Skerrit)首相は26日、隣国ハイチで猛威を振るうギャングリーダーたちとの直接会談を求め、危機的状況にあるハイチを救い、持続可能な平和を確立するためには対話が欠かせないと強調した。

スケリット氏は記者会見で、「首都の9割を掌握するギャングリーダーの関与なしで平和を達成することはできない」と語った。

またスケリット氏、「ハイチのギャングは無視できないレベルに規模を拡大し、あまりにも重要な存在になっている」と述べ、対話の重要性を強調した。

ハイチの治安は2021年7月のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺と同年8月に西部で発生したM7.2の大地震で崩壊し、破壊と暴力が蔓延している。

首都ポルトープランスでは3年ほど前から複数のギャングが地域の支配権をめぐって血みどろの抗争を繰り広げている。大統領のポストは今も空席のままだ。

ポルトープランスの90%がギャングの支配下に置かれ、市内の学校、企業、公共機関はほぼ全て閉鎖。2つの主要刑務所もギャングの攻撃で崩壊し、4000人以上の受刑者が脱獄した。

ポルトープランスと周辺地域の暴力は昨年10月頃から激化。アルティボニット県ではグラン・グリフとみられる武装ギャングが複数の地区を襲撃し、市民少なくとも115人を虐殺した。逮捕者は出ていない。

最新のギャング間抗争は3月初めに勃発。ポルトープランスの大部分を支配するギャング連合「ヴィヴ・アンサム(Viv Ansam)」と対立する複数のギャングが民間人を巻き込みながら激しい縄張り争いを繰り広げている。

一連の暴力とギャング間抗争により100万人以上が住居を失い、その多くが避難所に身を寄せている。

ケニアが率いる国連支援ミッションが国家警察を支援する中、スケリット氏は「力でこの問題を解決することは難しい」という見方を示した。「もっと早くこの問題について話し合うべきだった。ハイチのギャングは市民にとって身近な存在、重要な存在になった...」

またスケリット氏は「国連が軍事介入しても、この問題を解決することはできないだろう」と語った。「軍事介入や制裁はギャングリーダーや戦闘員の態度を変えることはできない。ドローンを送り込んで殺そうとしても、状況を悪化させるだけだ」

スケリット氏はかつてテロ組織に指定されていたコロンビア革命軍(FARC)と政府の和平プロセスに言及。「これは交渉と社会復帰のモデルであり、参考にすべきである」と述べた。

FARCは数十年に渡る内戦の末、2016年に政府と和平協定を結んだ。

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