▽コスタリカは近年、殺人件数の急増に悩まされている。23年の殺人件数は906件で、22年の654件を大幅に上回り、過去最高を更新した。
とエルサルバドルのブケレ大統領(AP通信).jpg)
中米コスタリカのチャベス(Rodrigo Chaves)大統領は2日、エルサルバドルにある最高セキュリティーの巨大刑務所をモデルにした新しい刑務所を建設すると明らかにした。
チャベス氏は声明で、「新しい刑務所の建設に加え、既存の刑務所内で物を売っている小さな店も閉業する」と述べた。
またチャベス氏は「面会も制限し、家族が受刑者に食べ物を届けることも不可能になる」と強調した。
チャベス氏は昨年11月、エルサルバドルのブケレ(Nayib Bukele)大統領を国賓として招き、同国の最高栄誉である国家勲章を授与した。
コスタリカは近年、殺人件数の急増に悩まされている。23年の殺人件数は906件で、22年の654件を大幅に上回り、過去最高を更新した。
24年は880件に減少したが、政府の統計によると、今年も昨年とほぼ同じペースで殺人が発生している。コスタリカの人口は約520万人、人口10万人あたりの殺人件数は約17件である。
チャベス氏は「新しい刑務所のための資金調達に取り組んでいる」と述べたが、建設時期などは明言しなかった。
ブケレ氏は昨年11月にコスタリカ最大の刑務所を視察している。
ブケレ氏は2022年3月、ギャング関連の殺人事件が多発したことを受け、非常事態を宣言。刑法を改正するなどしてギャング掃討作戦を本格化させた。
それ以降に逮捕されたギャングまたはギャングと疑われる市民は8万5000人を超え、うち約1万人が証拠不十分で釈放されている。
非常事態令により、警察の権限は大幅に強化され、結社の自由や弁護人を選任する権利なども制限。警察は令状なしで家宅捜索を行ったり被疑者を拘束できるようになった。
また刑法改正により、ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられた。
ブケレ政権の掃討作戦により、国内のギャングはほぼ壊滅し、エルサルバドルは世界で最も危険な国から、中米で最も安全な国に豹変。23年の殺人事件は214件で、2015年に記録した6600件の30分の1に激減した。
トランプ米政権は3月中旬、1798年に制定され、第2次世界大戦中に日系人の強制収容で使われたことで知られる敵性外国人法に基づき、ベネズエラの麻薬組織「トレンデアラグア」の構成員約250人をエルサルバドルの巨大刑務所に送った。