▽3月以来、エルサルバドルは米国から300人近くのベネズエラ人移民を受け入れている。その中には不当に国外追放されたメリーランド州の男性も含まれている。
とエルサルバドルのブケレ大統領(AP通信).jpg)
中米エルサルバドルのブケレ(Nayib Bukele)大統領が14日、米ワシントンDCでトランプ(Donald Trump)米大統領と会談し、二国間の安全保障や不法移民対策、関税などについて協議した。
ブケレ氏はメリーランド州の男性が誤ってエルサルバドルの巨大刑務所に送還されたことについて、「その男を米国に送還するつもりはない」と強調した。
トランプ政権は先月中旬、1798年に制定され、第2次世界大戦中に日系人の強制収容で使われたことで知られる敵性外国人法に基づき、トレンデアラグアの構成員約250人をエルサルバドルの刑務所に送った。
先月末にはエルサルバドルのギャング「マラ・サルバトルチャ(通称MS-13)」のメンバーとされる17人をエルサルバドルに強制送還している。
政府は送還した移民をギャングのメンバーと呼んでいるが、一部の親族はそれを否定している。
3月以来、エルサルバドルは米国から300人近くのベネズエラ人移民を受け入れている。その中には不当に国外追放されたメリーランド州の男性も含まれている。
米最高裁は先週、トランプ政権による敵性外国人法を活用したベネズエラ犯罪者の強制送還を差し止めた下級審の仮処分について、無効とする判断を示した。
一方、最高裁は誤って送還されたメリーランド州の男性について、米国への帰還を「促進」するよう政権に求めている。
ブケレ氏は米最高裁の決定を「とんでもないし、何の権限もない」と一蹴した。「私はトランプ大統領が強制送還したテロリストを刑務所に送っています。そのテロリストを米国に密入国させるなどあり得ません。エルサルバドルは主権国家であり、テロリスト養成所ではありません...」
またブケレ氏は最高裁の決定を「馬鹿げている」と批判した。「同盟国である米国にテロリストを送り込むなどあり得ないし、とんでもないことだ。そして、残念ながら、私にはテロリストを米国に送る権限がない。そうでしょう?」
トランプ氏は笑顔で、「ブケレ大統領は素晴らしい仕事をしている。彼はすごい男だ」と褒め称えた。
ブケレ氏は2月にルビオ(Marco Rubio)米国務長官と会談して以来、トランプ政権の移民追放政策をサポートしてきた。
トランプ政権は犯罪者を収監する見返りとして、エルサルバドルに年間600万ドルを支払うと約束している。
ボンディ(Pam Bondi)米司法長官は14日、ブケレ氏の発言を擁護し、「エルサルバドルがどうしても彼を帰国させたいと望むなら、協議に応じる用意がある」と主張した。
またボンディ氏はメリーランド州の男性の送還を決めるのは主権国家のエルサルバドルであると強調した。「それを決めるのは我々でも最高裁判所でもありません...」
国土安全保障省(DHS)は14日、最高裁に宛てた書簡の中で、男性は主権国家であるエルサルバドルの刑務所に拘留されているため、米国に男性を強制送還させる権限はないと主張した。
またDHSは男性が外国テロ組織に指定されているMS-13のメンバーであるため、入国する資格がないと述べた。
それによると、男性の弁護士はMS-13やその他ギャングに所属していなかったことを示す証拠を提出していないという。
米国務省は2月、MS-13やトレンデアラグアを含む中南米の8つの麻薬組織を外国テロ組織に指定した。