◎英領ヴァージン諸島のアンドルー・ファヒー首相は先週、麻薬密売などに関与したとして、米麻薬取締局(DEA)に逮捕された。
英領ヴァージン諸島のアンドルー・ファヒー首相(Government of the Virgin Islands/AP通信)

英領ヴァージン諸島(BVI)で2日、同国をイギリス政府の直接統治下に置くという提案に反対するデモが行われ、数百人が参加した。

デモ隊は「奴隷制度反対!」「独立を勝ち取ろう!」などと叫び、BVI政府の提案を非難した。

BVI政府の専門家委員会は先月末に公表した報告書の中で、「BVIは民主的な統治を回復するために、ロンドンの事実上の管理下に置かれるべき」と提案した。

BVIのアンドルー・ファヒー首相は先週、麻薬密売などに関与したとして、米麻薬取締局(DEA)に逮捕された。

DEAは「5kg以上のコカインの密輸」と「マネーロンダリング」でファヒー容疑者、港湾局の管理者であるメイナード容疑者とその息子を逮捕した。

DEAによると、ファヒー容疑者はメキシコの麻薬組織シナロアカルテルのメンバーを装ったDEAの潜入捜査官に対し、70万ドルの支払いと引き換えにBVIの港を利用してコカインを輸送することを許可したという。

米司法省は逮捕後、ファヒー、メイナードおよびその息子を「コカイン売買およびマネーロンダリングの共同謀議」で起訴したと発表した。

しかし、ファヒー容疑者の弁護士は2日に提出した文書で、「ファヒー氏は英国海外領土の元首であり、訴追を免除される」と主張した。

首都ロードタウンの政府庁舎前に集まったデモ隊は、「奴隷制度反対!」「イギリスは去れ!」などと叫び、エリザベス女王の代理であるジョン・ランキン総督に行動を促した。

参加者のスミス氏はアルジャジーラの取材に対し、「イギリスと世界に私たちのメッセージを伝えなければならない」と語った。「今すぐ独立住民投票を行いなさい!」

一方、イギリスのアジア・中東担当相であるアマンダ・ミリング氏は、BVIの報告書を精査するために現地入りしている。

ミリング大臣は2日のツイートで、「私はBVIの指導者、反対派、地域団体、分野の専門家を含む様々な人々と関わり、BVIの最善の利益について話し合うことを楽しみにしています」と述べている。

BVIはカリブ海の英海外領土で、約3万5000人が生活している。イギリス政府は防衛と外交政策を監督している。

パナマ文書の漏洩でマネーロンダリング・アイランドと呼ばれるようになった英領ヴァージン諸島は世界有数のオフショア・タックスヘイブン(租税回避地)である。

地元政府もロンドンも、この島に流れ込む不正な資金に目をつぶっていると反汚職団体から厳しく非難されている。

イギリスの司法当局が先週公表した報告書も、BVI政府が毎年数百万ドルの公的資金を適切な手続きなしに使っていると結論づけた。また、公共財の売却に関する不正取引と、広範な権力の乱用も確認されたという。

この報告書はファヒー容疑者の逮捕後に公表された。

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