◎国連の支援を受けるトリポリ政府と東部の港町シルトに拠点を置くもうひとつの政府はどちらも民兵の支援を受けている。
2022年8月27日/セルビア、首都トリポリの住宅地(Getty Images/AFP通信)

国連は27日、リビアの首都トリポリで敵対する2つの民兵組織が衝突したこと受け、敵対行為の即時停止を呼びかけた。

国連の支援を受けるトリポリ政府によると、これまでに民間人を含む少なくとも23人の死亡を確認し、140人が負傷、少なくとも64世帯が避難を余儀なくされたという。

リビアは2011年のカダフィ(Muammar Gaddafi)大佐討伐以来、混乱状態にある。

AP通信によると、戦闘を起こしたのは民兵組織「トリポリ革命旅団(Tripoli Revolutionary Brigade)」の戦闘員および支持者とみられる。この組織とトリポリに拠点を置く別のライバル組織が衝突した。

トリポリ革命旅団と衝突した民兵組織は東部の港町シルトに拠点を置くもうひとつの政府、バシャガ(Fathy Bashagha)暫定首相を支持しているとみられる。

アルジャジーラはトリポリ政府高官の話を引用し、「革命旅団の戦闘員たちはバシャガ派の車列をトリポリから追い出そうとした」と報じている。

トリポリのいくつかの地域では銃声や爆発音が確認された。中心部近くの住宅地からは黒煙が上がったと伝えられている。

AFP通信によると、市内の医療機関も戦闘に巻き込まれたという。戦闘が発生した地域の住民数十人が避難を余儀なくされた。

リビアの国連チームは声明で、「民間人が生活する住宅地で無差別砲撃や銃撃が確認された」とし、即時停戦を呼びかけた。

一方、トリポリ政府のドベイバ(Abdul Hamid Dbeibah)暫定首相は、「正体不明の民兵が別のライバル民兵に発砲し、戦闘が勃発した」と主張している。

ドベイバ氏とバシャガ氏はどちらも民兵の支援を受けている。またバシャガ氏は東部と南部地域の支配者である元国軍将校のハフタル(Khalifa Haftar)司令官の支持も得ている。

ハフタル氏は2011年の革命を主導した軍の実力者で、数千人規模の部隊と複数の民兵組織を率いている。

トリポリ政府は昨年末に予定していた大統領選を実施できず、国際社会と国民を失望させ、東部政府の怒りを買った。

バシャガ氏はドベイバ氏に辞任を求めているが、ドベイバ氏は選挙で選ばれた勝者にのみ、権力を譲ると主張している。

国連は両政府に自制を求め、ジュネーブなどで仲介協議を行ってきたが、国政選挙に必要な憲法の枠組みで合意に達することはできず、混乱が収束する見通しは立っていない。

2022年8月27日/セルビア、首都トリポリ、国連の支援を受ける正規軍(Yousef Murad/AP通信)
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