◎エチオピア政府とティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の和平交渉は今月初めに南アフリカで行われる予定だったが、技術的な問題で延期された。
2021年5月8日/エチオピア、北部ティグライ州の難民キャンプ(Getty Images)

アフリカ連合(AU)のマハマト(Moussa Faki Mahamat)委員長16日、エチオピア北部ティグライ州で進行中の紛争が壊滅的な人道危機を引き起こしていると重大な懸念を表明し、当事者に即時停戦を呼びかけた。

マハマト氏は声明で、「即時の停戦と人道支援の再開」を求めている。

エチオピア政府とティグライ州を実行支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)の和平交渉は今月初めに南アフリカで行われる予定だったが、技術的な問題で延期された。

TPLFは今月初めにAU仲介の和平交渉を受け入れている。

国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長も15日、ティグライ州の戦闘激化に深刻な懸念を表明し、敵対行為の即時停止を求めた。

TPLFと軍の戦闘は2020年11月に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民となり、数万人が近隣諸国に逃亡したと推定されている。

軍とTPLFの戦闘は8月末に再開され、5カ月間維持された人道的停戦は破綻した。

TPLFは先月、AU仲介の和平交渉に応じる意思があると表明したが、エチオピア軍は隣国エリトリアの部隊と協調してティグライ州に攻撃を仕掛けているとみられる。

米国際開発庁(USAID)のサマンサ・パワー(Samantha Power)長官は16日、エリトリア軍にティグライ州から撤退するよう求め、この地域で最大100万人が「飢餓の瀬戸際に立たされている」とツイートした。

またパワー氏は、「この紛争で数百万人が避難を余儀なくされ、難民キャンプも攻撃を受けている」と報告し、エリトリアとエチオピア両軍がこの地域を支配した場合、さらなる流血が起こると警告した。

AP通信は情報筋の話を引用し、「ティグライ州の州都メケレ近くの町で激しい戦闘が報告され、援助物資を輸送していた人道機関の職員が死亡した」と報じている。

EUのボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表は「人道機関に対する暴力を糾弾する」と声明を発表した。

TPLFのレダ(Getachew Reda)報道官は16日、マハマト氏の停戦要請を歓迎するとSNSに投稿した。

エチオピア政府はコメントを発表していない。

この地域への救援物資輸送は燃料不足と戦闘で妨げられている。AP通信は15日、国連当局者の話を引用し、「難民キャンプ7カ所で餓死者を少なくとも10人確認した」と報じた。

エチオピア、北部ティグライ州の市民(Getty Images/AFP通信)
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