◎サイード大統領は2021年7月末に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を手中に収めた。
2021年9月17日/チュニジア、首都チュニス、サイード大統領(Getty Images/Pool/AFP通信)

チュニジアで13日、約2年ぶりに国会が召集された。

野党連合は昨年12月と1月の議会選をボイコットし、サイード(Kais Saied)大統領に引退を勧告している。

サイード氏は2021年7月末に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を手中に収めた。

野党と活動家はサイード氏の強硬措置をクーデターと非難し、各地で抗議デモを続けている。議会は昨年3月に解体され、12月に議会選が行われたものの、投票率は8.8%にとどまり、今年1月の第2回投票も悲惨な結果に終わった。

最大野党であるイスラム政党「アンナハダ(Ennahda)」は13日、サイード氏を改めて強く非難した。「野党連合はサイードが退陣するまでデモを続けると誓います...」

国営テレビによると、国会内に入ることを許可されたのは国営メディアのみであった。国会前では立ち入りを禁じられた独立系メディアのジャーナリスト数十人が異例の抗議デモを行った。

サイード氏は2年前の議会解体について、「無能な議員が経済・社会危機を招いた」と主張。サイード氏の支持者もイスラム政党の議員にその責任があると批判していた。

サイードはそれ以来、権力を大統領府に集中させ、国を運営している。

チュニジアは「アラブの春」の発端となった2011年のジャスミン革命で民主主義を確立。この地域でアラブの春以降に民主主義を確立できた国はチュニジアだけである。

サイード氏は昨年、投票率30%の国民投票で新憲法を批准し、国会の権限の一部を大統領府に移した。

新憲法により、国会の議席は217から161に削減された。しかし、議会選で候補を擁立できた選挙区は154にとどまった。

与党を除くほぼ全ての政党が選挙をボイコットし、抗議デモを続けるとしている。

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