◎アビィ・アハメド首相はTPLFとの戦争を最前線で指揮していると伝えられている。
エチオピア、アムハラ州ラリベラ、ユネスコ世界遺産の岩窟協会(Getty Images/AFP通信)

エチオピアの国営メディアによると、国軍は北部ティグライ地域を支配するティグレ人民解放戦線(TPLF)からユネスコ世界遺産の町ラリベラを奪還したという。

アビィ・アハメド首相はTPLFとの戦争を最前線で指揮していると伝えられている。

TPLFは12月1日の声明で、「特定の地域から戦略的に撤退した」と述べたが、ラリベラには言及しなかった。

ティグライ州の東に位置するアムハラ州ラリベラにはユネスコ世界遺産に登録されている「岩窟教会」があり、内戦が勃発するまではエチオピアを代表する観光地のひとつとして毎年多くの観光客を受け入れていた。

TPLFは今年8月、アムハラ州の主要都市を占領した。

国軍とTPLFの戦闘は1年前に本格化し、これまでに民間人数万人が死亡、数百万人が国内避難民になり、数万人が隣国スーダンに逃亡した。

国軍は昨年11月末にティグライ地域の大半をTPLFから奪取したが、TPLFはオロモ解放戦線などの主要な反政府勢力と同盟を結んでティグライ国防軍(TDF)を結成し、6月の奇襲攻撃で地域の支配権を取り戻した。

TDFはティグライ地域に隣接するアムハラ州とアファール州の大半を支配下に置き、さらに首都アディスアベバ近郊の都市を占領したと伝えられている。アビィ首相は先月末、最前線で指揮を執ると宣言し、出陣した。

政府は紛争地周辺を立入禁止区域に指定し、民間の報道機関を排除した。

国営メディアによると、政府の報道官はアムハラ州の重要な戦略拠点である都市デセの奪還に自信を持っていると述べたという。

デセは首都アディスアベバとジブチを結ぶ交通の要所であり、先月TPLFの占領下に置かれた。

また国営メディアによると、国軍はアディスアベバの北東約220kmに位置する都市シェワ・ロビットの奪還にも成功したという。

アビィ首相は国営メディアが放送した映像の中で兵士を鼓舞し、TPLFを破壊するよう呼びかけた。「敵は倒れています。私たちの仕事はテロリストを破壊することです...」

TPLFのリーダーであるデブレツィオン・ゲブレミチャエル将軍は先週、国連に宛てた書簡の中で、民間人に対する軍のドローン攻撃に深刻な懸念を表明した。

将軍は書簡の中で、「国軍はイラン、トルコ、アラブ首長国連邦から中国製のドローン兵器を受け取った」と述べた。政府はこの声明に反応していない。

一方、エチオピアを訪問している中国の王毅 外相は、まもなくアディスアベバでデメケ・メコネン副首相と会談すると伝えらえている。

西側諸国と国連を含む人道機関はティグライの市民に対する非人道的な扱いでアビィ首相を非難しているが、中国は西側の「内政干渉」に反対してきた。

ティグライ地域の飢餓危機は過去10年で世界最悪と見なされており、国連は今年公表したレポートの中で40万人以上が年内に餓死する可能性があると警告した。

ティグライ紛争に関連する情報はソーシャルメディアで広く共有されており、政府は1日、反政府勢力のアカウントやツイートを擁護したとしてツイッター社を非難した。

ツイッター社は1日、「ティグライ紛争の差し迫った脅威」を理由にエチオピア国内におけるトレンド機能を一時的に停止した。エチオピアと隣国エリトリアの反TPLF勢力は、TPLFに関する様々な情報を発信し、紛争を正当化しようとしている。

フェイスブックは先月、国民にTPLFと戦うよう呼びかけたアビィ首相の投稿をポリシー違反で削除した。

2021年12月1日/エチオピアの首相官邸が公開した写真、演説するアビィ・アハメド首相(エチオピア首相官邸/Getty Images/AFP通信)
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