◎軍事政権に反対する人々は10月25日以来、首都ハルツームや他の主要都市で抗議デモを続けている。
2021年11月21日/スーダン、首都ハルツーム、アブデル・ファッタ・バーハン将軍(左)とアブダッラー・ハムドゥーク首相(Getty Images/AFP通信)

11月21日、スーダンの国営放送によると、軍事クーデターで追放されたアブダッラー・ハムドゥーク首相と軍の指導者であるアブデル・ファッタ・バーハン将軍が新しい権力共有協定に署名したという。

軍は10月25日にハムドゥーク首相と他の高官を拘束したうえで軍民合同政府のソブリン評議会を解散し、2023年7月の選挙まで権力を維持すると発表した。

軍と民間の代表は2019年の無血クーデターで独裁者のオマル・アル=バシールを追放し、国を民主主義に導くソブリン評議会を創設した。しかし、今年9月にアル=バシールの支持者がクーデター未遂事件を起こし、以来、軍事政権を復活させるという機運が高まっていた。

AP通信によると、協定はクーデターで拘束された政府高官の釈放および、クーデター後の抗議デモに対して行われた暴力の責任の所在を明確にする調査の実施について認めているという。ただし、ハムドゥーク首相を含む民間指導者にどの程度の権限が与えられているかは明らかにされていない。

軍事政権に反対する人々は10月25日以来、首都ハルツームや他の主要都市で抗議デモを続けている。地元メディアなどによると、デモに参加した民間人の死亡者は少なくとも40人にのぼるという。

ハムドゥーク首相は調印式の演説で、「この協定は民主主義への移行に向けた諸課題に対処するものであり、同時に暴力を阻止する契約でもあります」と述べた。「スーダンの血は貴重です。若者のエネルギーを建設と開発に向けましょう...」

またハムドゥーク首相は、協定を支援してくれた「世界の友人」に感謝すると述べたが、交渉に関与した個人と国名は明らかにしなかった。

バーハン将軍は、「この協定は移行期の問題を解決し、スーダンの基盤を築くことができる」と述べた。「私たちはこの協定で軍と民間の関係を修復し、世界の友人たちと真のパートナーシップを結び、スーダンを前進させる制度を構築したいと考えています...」

2019年の蜂起で重要な役割を果たしたスーダン専門家協会は21日、ハムドゥーク首相の決定を「自殺行為」と呼び、協定に強く反対した。「軍事クーデターの首謀者に権力を与えるのは間違いです...」

多くの政党と民主化推進グループの傘下にある軍の一部はクーデター勢力との取引に反対し、抗議デモに参加した人々も完全な文民統制を求めていた。

スーダン専門家協会は声明の中で軍の政治関与を却下し、「クーデター勢力は一連の騒乱と民間人に対する暴力を主導した罪で起訴されなければならない」と強調した。「私たちはこの野蛮な協定に一切関心がなく、それを廃止するために平和的に訴え続けます...」

最大の政党であるウンマ党も、協定に賛成していないと示唆する声明を発表した。

米シンクタンク、アトランティック・カウンシルのキャメロン・ハドソン氏はAP通信に、「バーハン将軍はこの協定で権力を維持し、民間人の死に対する説明責任を回避できる」と述べた。「協定は民間人ではなく、スーダンのトップを守ることを優先しているようです」

スーダンの国連統合移行支援ミッション(UNITAMS)は協定を歓迎したうえで、人権と法の支配を保障し、民主主義への完全な移行に向けた取り組みを速やかに開始するよう当事者に促した。

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