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▽この難民キャンプには23年4月に内戦が勃発して以来、首都ハルツームの住民など、50万人以上が身を寄せていた。
スーダン、北ダルフール州エルファーシルの難民キャンプ(ロイター通信)

アフリカ北東部・スーダンの準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」による難民キャンプ襲撃から1週間。現場で起きた虐殺の実態が徐々に明らかになってきた。

ロイター通信の取材に応じた女性は「母、父、兄弟、祖母を失った」と語った。

RSFは先週、北ダルフール州エルファーシル近郊の難民キャンプを襲撃。国連によると、少なくとも300人が殺害され、40万人以上が避難を余儀なくされたという。

この難民キャンプには23年4月に内戦が勃発して以来、首都ハルツームの住民など、50万人以上が身を寄せていた。

RSFはキャンプ襲撃への関与を否定し、国軍に忠誠を誓う民兵が市民を虐殺し、その責任をRSFに負わせようとしていると主張。「RSFは難民を守るために戦っている」とし、国軍が虐殺を主導していると非難した。

軍事政権はこの主張を否定し、「RSFを滅ぼすまで戦い続ける」と誓った。

軍政とRSFは23年4月からハルツームなどの支配権を争っている。

この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1400万人以上が避難を余儀なくされ、うち約500万人が周辺国に逃れたと推定されている。

激戦が続くダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。

国連は23年4月~24年6月の間にハルツームだけで2万6000人以上が死亡。さらに数千人が病気や栄養失調などで死亡したと推定している。

正確な死傷者は明らかになっていないが、昨年公表されたデータによると、開戦から14か月間でハルツームだけで6万1000人が死亡した可能性がある。

RSFはダルフールの大部分を掌握。エルファーシルで国軍とその同盟組織を包囲し、激戦を繰り広げている。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは20日、難民キャンプへの攻撃を改めて非難し、双方に武器を置き、和平に向けた協議を開始するよう求めた。

難民キャンプから60キロほど離れた集落に避難した女性はAP通信の取材に対し、「ドローンが空を飛び交い、爆発や銃声が鳴り響く中、子供を連れて何とか逃げることに成功した」と語った。

それによると、女性は徒歩で移動中、餓死したとみられる7人の遺体が道端に放置されているのを見たという。

RSFは昨年8月、この難民キャンプに食料と飲料水を提供すると約束したが、この地域で活動する人権団体によると、RSFが支援物資を持ち込んだ形跡はないという。

10以上の国連機関、政府、援助団体などが参加する「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の飢饉調査委員会(FRC)は昨年、スーダンの難民キャンプで第2次世界大戦以来、最悪の「破滅的な大飢饉」が発生する恐れがあると警告した。

軍政とRSFの合同軍は2019年に独裁者オマル・バシル (Omar al-Bashir)を追放。バシルはアラブ系部族を武装化し、「ジャンジャウィード」と呼ばれる武装民兵をダルフール地方に送り込んだとして、国際刑事裁判所(ICC)から指名手配されている。

国連はバシルが主導したダルフール紛争の死者数を30万人と推定している。

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