◎スーダン軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は4月中旬からハルツームなどの支配権を争っている。
2023年5月16日/南スーダン、隣国スーダンの国境近くにある難民キャンプ(Sam Mednick/AP通信)

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は19日、内戦下のスーダンではしかと栄養失調により、過去5カ月で5歳以下の幼児1200人以上が死亡したと明らかにした。

それによると、首都ハルツームなどの都市部や郊外の集落などで幼児の死亡が確認され、はしかだけでなくコレラに感染する子供も相次いでいるという。

UNHCRのグランディ(Filippo Grandi)高等弁務官は声明で、「この壊滅的な紛争と関心の欠如により、毎日何十人もの子供が命を落としている」と述べ、紛争の即時停止と国際社会の支援拡充を訴えた。

スーダン軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は4月中旬からハルツームなどの支配権を争っている。サウジアラビアと米国が仲介した停戦合意は6月に失効し、多くの地域で戦闘が激化した。

ハルツームでは広い範囲で市街戦が展開されている。地元の活動家などによると、RSFは民家を徴用し、国軍に待ち伏せ攻撃を仕掛けているという。

国連はこの5カ月で少なくとも5000人が死亡、1万2000人以上が負傷したと推定している。実際の死者数はもっと多いとみられるが、被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も全く立っていない。

国際移住機関(IOM)によると、近隣諸国に逃れた市民は100万人を超えたとみられる。

市街戦が拡大したことで医療システムは崩壊し、多くの病院がサービスを停止した。世界保健機関(WHO)によると、医療機関に対する攻撃はこの5カ月で少なくとも56件報告され、11人が死亡、38人が負傷したという。

WHOのテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は19日の記者会見で、「はしかなどの感染症の拡大を防ぐためには国際社会の支援が欠かせず、スーダンの市民数百万人が助けを求めている」と訴えた。

国連人道問題調整事務所(OCHA)も18日、スーダンで飢餓のリスクが高まっていると警告した。

それによると、スーダンの人口の5割、約2500万人が人道支援を必要とし、そのうち630万人が飢餓の瀬戸際に追い込まれているという。

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