◎ダルフールのアフリカ系部族は2003年、アラブ系で構成される旧軍事政権に攻撃を仕掛け、ダルフール紛争が勃発した。
2014年7月13日/スーダン、ダルフールの集落(Getty Images/AFP通信)

スーダンの人権団体は24日、西部ダルフール地方で新たな部族間衝突が発生し、少なくとも5人が死亡したと報告した。

この地域で活動するダルフール弁護士会(DBA)によると、衝突したのはアフリカ系部族とアラブ系の羊飼い。武装した2人組が銃を乱射したという。

DBAと地元の酋長は声明で、「アラブ系の民兵が虐殺に関与した」と述べている。

DBAによると、この衝突で少なくとも5人が死亡、数人が負傷したという。死傷者の身元は明らかになっていないが、アフリカ系部族とみられる。

ダルフール地方では昨年から暴力事件が相次いでいる。

ダルフールのアフリカ系部族は2003年、アラブ系で構成される旧軍事政権に攻撃を仕掛け、ダルフール紛争が勃発した。

2019年に失脚した独裁者のオマル・バシル (Omar al-Bashir)はアラブ系部族を武装化し、ジャンジャウィードと呼ばれるアラブ系武装民兵をこの地域に送り込んだと告発されているが、バシルはこの告発を否定している。

国連はこの紛争で最大30万人が死亡、270万人が故郷を追われたと推定している。

一方、首都ハルツームでは2021年10月に政権を奪取した軍指導部による民政への移行方法をめぐり、もめごとが続いている。

軍事政権を率いるブルハン(Abdel Fattah al-Burhan)将軍と民主指導者は昨年末、選挙で指導者を選出する協定に署名した。

この協定は4月11日までに選挙を終え、暫定政府を樹立するとしている。しかし、多くの政治勢力が協定に反対を表明しており、選挙を行えるような状態ではない。

軍事政権発足後、西部と南部では部族間衝突が急増している。この問題に詳しい専門家によると、ダルフールの武装勢力や民兵は混乱に乗じて勢力を拡大し、敵対勢力へのさらなる攻撃を企てている可能性があるという。

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