◎ダルフール地方の紛争は昨年10月の軍事クーデター以降の政治空白で悪化したと報告されている。
スーダン、首都ハルツーム、軍事政権に抗議するデモ(Getty Images)

スーダン当局は14日、西部ダルフール地方で部族間衝突が発生し少なくとも24人が死亡したことを受け、同地方全域を対象とする非常事態宣言を発令した。期間は1か月間。

国営テレビによると、紛争当事者はこの地域で和平交渉を主導していた当局者に攻撃を仕掛けたという。この攻撃による負傷者の有無は明らかにされていない。

紛争は先週、ダルフール地方の複数の集落で発生した。

この地域の酋長によると、アラブ系部族とアフリカ系部族は原付バイクが盗まれたという住民に申し出を受け、戦闘を開始したという。

国営テレビは当局者の話を引用し、「非常事態宣言後も戦闘は続いており、多くの民家が焼かれ、軍も事態を収拾できずにいる」と伝えている。

軍事政権の高官によると、軍と警察が現地に派遣されたという。

ダルフール地方の紛争は昨年10月の軍事クーデター以降の政治空白で悪化したと報告されている。

国連によると、この地域の紛争による今年の死者数は確認できているだけで800人以上。避難民は26万5000人以上と推定されている。

ダルフールのアフリカ系部族は2003年、アラブ系で構成される旧軍事政権に攻撃を仕掛け、ダルフール紛争が勃発した。

2019年に追放された独裁者のオマル・バシル (Omar al-Bashir)はアラブ系部族を武装化し、ジャンジャウィードと呼ばれるアラブ系武装民兵をこの地域に送り込んだと告発されているが、バシルはこの告発を否定している。

国連のPKO部隊である国連・AUダルフール合同活動(UNAMID)は2020年末に活動を終了したものの、現地の活動家や人道機関は部隊の再配備を要請している。

紛争開始以来、ダルフールの住民約250万人が避難を余儀なくされ、少なくとも30万人が死亡、数十万人が負傷したと推定されている。

アラブ系とアフリカ系部族は領土と水源をめぐり争っている。

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